■I.米国株式市場

(広告の後にも続きます)

●1.NYダウの推移

 1)3/7、NYダウ+130ドル高、38,791ドル(日経新聞より抜粋
  ・米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの期待が相場の支えとなった。アナリストが投資判断や目標株価を引上げたエヌビディアなど半導体株が上昇し主要ハイテク株も全般に買われた。

【前月は】相場展望3月7日号 米国株: 新牽引役「MaN」4銘柄の株価伸び悩みが目立つ 日本株: 高値警戒と先高観の綱引き続くが、米国株の軟化に注意

  ・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が3/7の上院での議会証言で、利下げ開始の条件となる物価の安定を達成できるとの確信を持てるようになるまで「そう遠くない」と述べた。3/6の下院での議会証言と同様に、米景気の先行きにも楽観を示した。市場ではFRBが年央に利下げを始めるとみる参加者が多く、米景気後退を回避できるとの見方が投資家心理の改善や買い安心感につながった。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、アナリストが目標株価を引上げたエヌビディアが+4%あまり上げ、上場来高値を更新した。半導体メモリーのマイクロンも投資判断や目標株価の上方修正を受け買われた。主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+3%強上昇し、過去最高値で終えた。

  ・NYダウでは、インテルの上昇が目立った。ハイテク株全般に買いが及び、アマゾンやマイクロソフトも高い。アメリカン・エキスプレスやキャタピラーも買われた。一方、アムジェンなどは下げた。

  ・NYダウは伸び悩む場面もあった。主要株価指数が最高値圏で推移し、過熱感や高値警戒画意識されやすい。3/8に米雇用統計の発表を控え、持ち高を傾けにくい雰囲気もあった。

  ・多くの機関投資家が運用指標とするSP500株価指数は続伸し、3/1以来となるほぼ1週間ぶりに最高値を更新した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。半導体関連ではメタプラットフォームズの上昇が目立った。

 2)3/8、NYダウ▲68ドル安、38,722ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは3日ぶりに反落した。朝方発表の2月の米雇用統計は雇用の底堅さを示したものの、金融政策を方向付けるほどの内容ではないとの受け止めもあり、取引終了にかけて売り優勢となった。これまで上昇が目立っていた半導体株に利益確定売りが広がり、相場の重荷と
なった。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、エヌビディアが7営業日ぶりに▲5%と反落した。買いが先行して始まり、900ドル台後半と上場来高値を更新したが、利益確定の売りに押されて下落に転じた。半導体関連では、3/7夕に発表した四半期決算で主力部門の売上高が市場予想に届かなかったブロードコムと、業績見通しが市場予想を下回ったマーベルも大幅安となった。

  ・半導体関連銘柄については、「人工知能(AI)関連を巡る期待値が切り上がっていたため、決算をきっかけに利益確定売りが膨らんだ」との見方があった。NYダウの構成銘柄では、インテルやアマゾン、マイクロソフトが売られた。

  ・NYダウは高く推移し、上げ幅が一時+180ドル近くになる場面があった。2月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比+27.5万人増え、ダウ・ジョーンズ通信のまとめた市場予想+19.8万人を上回った。一方、1月と2023年12月の増加幅は下方修正された。失業率は3.9%と、前月の3.7%と変わらないとみていた市場予想に対して上昇した。平均時給は前月比の上昇率が+0.1%と、市場予想+0.2%を下回った。

  ・市場では「堅調な雇用の伸びは米経済が軟着陸できるとの見方を後押しするとともに、賃金の伸び鈍化はインフレ抑制に向けた流れを支える」との指摘があった。米経済に対する楽観的な見通しは景気敏感株や消費関連株の一角に買いを誘い、スリーエムやナイキなどが上昇。アップルは8営業日ぶりに反発した。

  ・雇用統計は強弱が入り混じり「米連邦準備理事会(FRB)の利下げを巡る政策運営の結論を導き出すのは難しい」との受け止めもあった。来週には2月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高などの発表がある。1月のCPIは市場予想を上振れした半面、小売売上高は予想以上に落ち込んだ。内容を見極めたい雰囲気も強かった。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落した。朝方は買いが先行し、3/1に付けた最高値16,274を上回る場面があったものの、買いは続かなかった。半導体株を中心に利益確定売りが広がった。