株式会社Wrusty 原 一仁さん
「いいなと感じたサービスのデザインをひたすらトレースします」

原 一仁さん

武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業後、都内デザイン事務所にWEBデザイナーとして勤務。シリコンバレースタートアップ企業でのインハウスデザイナーを経て、創業メンバーとして株式会社Wrusty設立。座右の銘は、「千里の道も一歩から」。

――デザイナーとして大切にしているポリシーやモットーを教えてください。

原さん

デザインを作る上で大切にしているのは、「誰に対してデザインを作っているか」ということ。弊社ではSaaSサービスを提供しているので、ユーザー体験を何より大切にしています。このデザインを受け取る人やユーザーはどんな人で、これを見てどう感じるか、どんなものが好きで、何を求めているのかを考え、本人も気付いていないような本当に欲しているものを拾い上げることを大切にしています。世代や時代の流れ、置かれた環境によって考え方は大きく違うと思います。それらを可能な限り理解を深め、どうやってデザインに落とし込んでいくかを大事にしています。

――デザインを新たに学んだり習得したりするために、どんなことを行っていますか?

原さん

デザインの勉強の一環として行っている方も多いですが、自分がいいなと思ったサービスのデザインのトレースをしています。UIデザイン・LP・デザインシステム・広告デザインなど、そのサービスのあらゆるアウトプットをひたすらトレースします。トレースをすると、サイズ感や余白のバランス、要素の揃え方など、見ただけでは理解できなかった細かい部分を知ることができ、自分がなぜこのデザインを魅力的だと感じたのか、その理由に気づくことができます。

――その方法は具体的にどんなことに役立ちましたか?

原さん

私はインハウスデザイナーとして弊社の自社サービスをデザイン・開発からブランディングまですべて行っております。自社サービスを開発する上でデザインシステムを作るのですが、作る前に他サービスのデザインシステムを研究しまくりました。デザインシステムといってもUIのパーツの全てをシステムにしているわけではありません。どこまでをシステム化していて、どのように使われているか、ボタンやスペーシングやフォームなどのサイズ感の関係性、色の使用方法・ルールなど、研究してデザインシステムを作りました。ルール化したデザインシステムを作ることにより、デザインをする上で迷うことがなくなり開発スピードが上がりました。

――他社のデザイナーで尊敬している人はいますか?

原さん

THE GUILDの深津貴之さんです。深津さんがCXOを務められている「note」の『404美術館』を初めて見た時に、「これはすごい!」と感じました。『404美術館』とは、記事が削除されていてページが存在しない時に、ユーザーがハッシュタグ「#404美術館」とつけて投稿した写真やイラストが表示される仕掛けです。WEBサイトを見ているとよく見かける「お探しのページは見つかりませんでした」というネガティブな体験が、見応えのあるイラストが表示されることによりポジティブに感じられました。
 
「note」には、メンバーシップ機能など、記事を投稿するクリエイターを大事にしている要素があると思います。そのクリエイターが喜ぶやり方で、一般ユーザーのnote閲覧時のサービス体験を向上させる、ポップなアイデアに感動しました。

株式会社Wrusty

「情報の流れや形を変えて、人々に新しい情報価値を提供する」というミッションのもと、オンライン診療システム『march(マーチ)』などの自社開発システム・アプリを提供。また、ITコンサルティング、エンジニアリングインキュベーション支援およびDX支援なども行っている。

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株式会社Greenspoon ちゃんあかさん
「デザインをデザイナーだけのものにしないことを心がけています」

ちゃんあかさん

専門学校でWebデザインを学んだ後、事業会社のインハウスデザイナーとして、情報設計からビジュアル・UIデザイン、CI/VI、販促まで幅広く経験を積む。株式会社Greenspoonにジョインし、ブランドとお客さまを繋ぐコミュニケーションデザインを担う。座右の銘は、「何かがうまくいく喜びには、それまでうまくいかない苦しみが必要不可欠だ」(『ナナメの夕暮れ』〈若林正恭 著〉より)

――デザイナーとして大切にしているポリシーやモットーを教えてください。

ちゃんあかさん

自分自身の心も揺さぶられるデザインを作ることを大切にしています。「人の心を動かすこと」は、「その人の想像を超えること」だと考えています。その「想像以上」を届けるためには、まず自分がワクワクしていなくては作れません。自分が何に感情を動かされるのか、そしてどうやって人の心を動かしていくのかに向き合うことを心がけています。

――デザインを新たに学んだり習得したりするために、どんなことを行っていますか?

ちゃんあかさん

まず1つ目は、「日々アイデアのストックをすること」。普段からPinterestを活用して、さまざまなクリエイティブを幅広くインプットしています。サブボードにデザインアイデアを分類してストックし、いいと思った理由や、『GREEN SPOON』ではどの部分を参考にできるかを言語化しながら見ています。デザイナーチームで共通のボードにストックしておくことで、お互いのアイデアを共有できるのでおすすめです。
 
そして2つ目は、「デザインをデザイナーだけのものにしないこと」一人でデザインするのではなく、チームメンバーと対話することを心がけています。抽象的なアイデアを広げたり具体化を繰り返すことで、伝えたいことやそのために必要な要素の解像度が上がります。表現するためのアイデアの引き出しが増え、新たなデザインを習得することにも繋がっていると思います。

――その方法は具体的にどんなことに役立ちましたか?

ちゃんあかさん

『GREEN SPOON』のブランドサイトリニューアル時に役立ちました。プロジェクトを進める中で、どんなサービスであるかを理解してもらうセクションの表現に特に悩んでいました。そこでまずはメンバーとディスカッションし、このセクションで伝えたいことを言語化。一番伝えたいキャッチコピーの内容を軸に、「素材がそのまま届くこと」をビジュアルで表現しようと決めました。スクロールに合わせてパウチから素材が飛び出す表現に行き着いたのは、海外クリエイティブの大胆なビジュアルと、アニメーションを組み合わせた表現をストックしていたからだと思います。

株式会社Greenspoon

素材がそのまま届く、たっぷり野菜のヘルシーおうちごはん「GREEN SPOON(グリーンスプーン)の企画・製造・販売を行う。『GREEN SPOON』は「かんたん」「ヘルシー」「おいしい」にこだわり、忙しい毎日でも自分のカラダを大切にできるスムージー、スープ、サラダ、メインディッシュを素材そのままで届けている。