代表取締役になったいま見えてきた「野望」

ーーStockSunのホームページを見ると、上位5%のフリーランスしか残らないとのことなんで……

岩野さん「1パーです(笑)」

ーーすいません(笑)。相当な少数精鋭じゃないですか。結構、社内の雰囲気とかピリッとしてそうなイメージなんですが。

岩野さん「想像しているよりは穏やかだと思います。そもそもでいうと、StockSunは業務委託の人たちが集まった組織で、持ちつ持たれつみたいな関係性で、上下感覚もあんまりないです。お互いニーズにマッチするお仕事があったら一緒に頑張ろうよみたいな。ちょっと話戻すと、株本がいて、僕含めあと数名ほど一気に初期にジョインしたんですよ。その後、すぐに大きな案件が数件来たので、“必死に頑張る”っていう文化が出来上がったんですよね。なので、“楽して稼ごう”っていうマインドの方が来ても定着しないというか」


独自の審査基準をクリアしたパートナーが多数登録されている

ーーなるほど。ただ株本さんの著書『稼ぐことから逃げるな』っていう強めなタイトルを見て、そういった野心あふれる人の応募も増えたんじゃないですか。

岩野さん「ええ。こんな事言うと物議を醸し出すかもしれないんですけど、僕は新卒でフリーランスになるみたいなのは反対してます。そうなっていいのは、学生のうちに仕事で一度死にものぐるいの経験をした人。逃げずに、歯を食いしばって耐えて、成功事例まで持っていけたか。頑張る基準値が一定程度に引きあがっていないと、フリーランスになったところでキツいですね」

ーーちなみに岩野さんが一番きつかったのはどの辺のなんですか。

岩野さん「もうそれは社会人の最初ですね。肉体的にっていうよりは、マインド的な話で。自分は京大を出て、別の大学院に行ったことで、大学時代の同期とすごい差ができちゃったんですよね。同級生は誰もが知るような超大手の奴らばかりで、何も話すことができない。だから、起業当初は大きく成功していないのに『起業した』って言ってマウントを取ろうと頑張ってみたり(笑)。収入がどうかというより、人と自分を比べたときが、一番辛くなるかなあ」

ーーいま、働く上で何を一番大切にされてます?

岩野さん「『頼りにされる総量』ですかね。どんな些細な相談であっても、わざわざ時間取って、自分を選んでくれてるんだったら、精一杯期待に応えようとなりますし、もっとその応えられる総量を上げていきたいと考えています」

ーーなるほど。”ギバー”な立ち位置なんですね。

岩野さん「そう言われると照れくさいですけど……なるべく努めようとしてます」


StockSunのYouTubeチャンネルで株本氏より社長交代の経緯が語られた

ーー昨年、代表取締役が株本さんから岩野さんへと交代したことが、YouTubeでも発表されていましたが、今後どう展開していこうと考えていますか?

岩野さん「会社で言うと、僕が株本からパスされたとき10億ちょいぐらいの年商規模だったんですね。そこから10倍にはしたいとは思っていて。その先、僕のキャリアパスに関わってくるんですけど、“政治家バージョンのStockSun”を作る構想はしています。要は、政治家って『政党という会社の社員』みたいなもんじゃないですか。社員同士のしがらみによって停滞してる部分ってあると思うんですよ。だから業務委託っぽく、持ちつ持たれつの組織構造があってもいいんじゃないかなって。もっとStockSunが大きくなっていけば、その野望も現実味を帯びてくるので、いま一番仕事が楽しいと感じています」


壮大な夢を語っている際の岩野さんの表情は喜びに満ちていた

取材・文/東田俊介
写真/武石早代

岩野 佳佑(いわの・けいすけ)

京都大学法学部卒業後、拓殖大にて安全保障の修士号取得。在学中、政治家秘書や株式会社FiNCでのインターンシップを経験後、株式会社ユーティルを共同創業。同社ではサイト制作事業の立ち上げと拡大を牽引。2018年7月より独立し、StockSun株式会社に参画。多数のコンサルティング実績を作るとともに組織構築を行い、2020年より同社で2年連続売上1位を獲得。2022年8月より代表取締役に就任。
https://stock-sun.com/