社会の流行を作るほどのリーダーシップを

ーー先ほど「ハード・ワーク」の話はされていましたが、福田さんの社会人人生の中で一番の「ハード・シングス」はなんでしょうか。

福田さん:コロナの時期は本当に大変でしたね。今でも鮮明に覚えてるんですけど、3月に最初の緊急事態宣言が出て、「外出しないでください」と言われた時、もう頭が真っ白になってしまって。「約250人の社員の雇用を守れるのか」とか、「いつ終わるんだ」とか、いろんな不安がぐるぐると浮かんできましたね。


このインタビューより少し前に最大のハード・シングスがあった

福田さん:インテリジェンスにいたときにも、リーマンショックや東日本大震災があったんですけど、「大変なことが起きたな」とは思いつつ、いち会社員ということもあり、どこか自分ごとに捉えられなくて。そこから3ヶ月は多分、創業時並みに働いたと思います。とにかく会社を前に向けなきゃいけないので、社員を不安にさせないように、経営陣でメッセージを統一して、何とかその期間を乗り切りました。コロナに関する様々な情報を集めていたときに、とある大学教授が、「パンデミックによって副業やフリーランスという働き方が拡大していく」という記事を書いていて、それも個人的には助けられました。

ーー非常に落ち着いた話し方、佇まいから察するに、“メンタルの強さ”が根底にあるのかなと思うのですが、「長年スポーツをやって身につけた」など、何か理由があるんですかね?

福田さん:学生時代は野球をやっていたんですけど、元々ある程度はメンタルコントロールはできるタイプでした。結構現実主義で、会社設立の際に起きたあらゆる大変なことも「こういうことって創業期だと当たり前だよね」みたいな感じに俯瞰して考えていて。それに、これまでの社会人経験がプラスされていることが、そう思わせる理由かなと思います。

ーー今後、会社として「こういうことを実現していこう」という青写真はありますか?

福田さん:フリーランス人材は今後間違いなく増えていきますし、あとはそのスピードがどの程度で広がっていくかだと思っています。すでにアメリカは、働き手の30%ほどがフリーランスという“フリーランス大国”になっている。この働き方が、日本でも当たり前になるよう、我々の事業がひとつの選択肢になればいいなと思っています。

ーー福田さん個人としてのキャリアパスはどう考えているのでしょうか。

福田さん:サーキュレーションを立ち上げてから強く思うようになったのは、「社会を変えられるほどのリーダーシップを持ちたい」ということです。会社の経営に携わることで、そうした力は少なからず身についてきましたが、世の中のムーブメントやトレンドを生み出すほどまで自身が成長していきたい。そうすることで、我々の事業にもっと注目してもらえますし、ひいては日本社会の働き方にもインパクトを与えられるのかなと思っています。

撮影/武石早代
取材・文/東田俊介

福田悠(ふくだ・ゆう)

中央大学理工学部を卒業後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社。製造業を中心とした約600社の人材採用を支援。大手法人顧客専門部門を経て、同社初となる社内ベンチャーの立ち上げに携わる。2014年、サーキュレーションの創業に参画。中小企業や製造業大手顧客を担当しながら、地方金融機関とのアライアンス、地方7拠点の設立を主導。2023年4月より代表取締役社長に就任