昨今は独立開業のハードルが下がり、個人で事業を運営する人も多く見かけるようになりました。
しかし、独立開業に際しては、いくつかの事務手続きが必要なのも事実。絶対に必要な手続き以外にも、事前に準備しておくと事業運営がグッとラクになるものもあります。
そこで、今回の記事では現役の個人事業主が「独立開業準備に必要な17のやることリスト」をまとめ、詳しく解説していきます。
独立開業準備に必要な17のやることリスト
「独立開業準備に必要な17のやることリスト」は以下の通りです。
このうち、1~4は「独立開業に(原則)必須の手続き」、5~17は「独立開業時に済ませておくとラクな手続き/準備」です。
ここからは、上記のやることリストを細かく解説していきます。
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独立開業に必須の手続き
1. 国民健康保険へ加入する
フリーランスになったら、今まで会社で加入していた健康保険から、国民健康保険に切り替える必要があります。
健康保険の加入資格は退職日の翌日になくなってしまうので、退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区町村役場で手続きを行いましょう。納付方法は、口座振替からコンビニでの支払いまで幅広く選べます。
ただ、国民健康保険の保険料は意外と高く、所得に比例するため、収入が上がると保険料も跳ね上がってしまいます。
そんなときは、同業者で構成される各種組合に加入し、「国民健康保険組合(国保組合)」を利用してみましょう。国保組合は保険料が一律になるため、高収入になれば国民健康保険よりも保険料が割安になります。
【国民健康保険について覚えておきたいこと】
- 医療保険
- 保険料は全額自己負担
(会社員時代は会社が保険料の半分を負担していたので、自己の負担は大きくなる。)- 世帯主と家族の医療費は3割負担
- 加入には下記の書類が必要
(離職票or健康保険資格喪失証明書、退職証明書、国民健康保険被保険者資格取得届)
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2. 国民年金へ加入する
会社員は厚生年金に加入していますが、フリーランスになると自分で国民年金に加入するのが原則。厚生年金の脱退手続きは会社がやってくれるので、お住まいの地域の役所へ向かい、国民年金への加入手続きをしましょう。
国民年金の納付額は月額16,000〜17,000円前後で、月額は毎年度見直しが行われています。とはいえ、会社員時代よりも直接の納付額は減ることが多いです。
しかし、同時に受給額も少なくなるため、老後への備えとして「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」などの「国民年金に上乗せできる任意の年金制度」の利用をおすすめします。
【国民年金について覚えておきたいこと】
- 原則20歳以上60歳未満のすべての人が加入する保険
- 納付額は、会社員時代の厚生年金に比べて少ない
- 納付額が少ないので、受給額も少ない
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3. 開業届を提出する
個人の開業届と事業開始等申告書は、開業時の必須書類です。未提出時の罰則はないため、届け出ずに事業を行うことも可能ですが、開業届は提出することによる税金的なメリットが大きいため、可能なら提出することをおすすめします。
また、ほかにも「青色申告承認申請書(提出することで65万円の税控除が受けられるようになる)」など、メリットのある書類も多いため、面倒くさがらずに手続きを済ませておきましょう。
【個人事業の開業(廃業)届出書】
- 提出先:税務署
- 提出期限:開業(廃業)日から1ヶ月以内
- 提出の有無:必須
【事業開始等申告書】
- 提出先:都道府県税務事務所
- 提出期限:都道府県による
- 提出の有無:必須
【青色申告承認申請書】
- 提出先:税務署
- 提出期限:青色申告を希望する年の3月15日まで
- 提出の有無:青色申告の承認を受ける場合
【消費税簡易課税制度選択届出書】
- 提出先:税務署
- 提出期限:適用を受けようとする課税期間の初日の前日(普通は12月31日)まで
- 提出の有無:消費税の簡易課税を選択する場合
【消費税課税事業者選択届出書】
- 提出先:税務署
- 提出期限:適用を受けようとする課税期間の初日の前日(普通は12月31日)まで
- 提出の有無:消費税の課税事業者を選択する場合
【給与支払い事務所等開設届出書】
- 提出先:税務署
- 提出期限:開設から1ヶ月以内
- 提出の有無:給与を支払う場合
【源泉所得税の納期特例承認申請書】
- 提出先:税務署
- 提出期限:特になし
- 提出の有無:源泉所得税の納期に特例を受ける場合
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4. 許認可を取得する
業種によっては、大臣や警察、保健所などの許認可が必要です。許認可には「許可」「届出」「登録」という3つのレベルがあり、「登録>届出>許可」の順で許認可を得やすくなります。例えば、タクシー業/トラック運送業/飲食店/中古品販売には「許可」が必要です。
一方で美容院/クリーニング店/軽トラック運送業は「届出」でOK。旅行業は「登録」のみで許認可が取れます。それぞれ取り扱っている所管官庁が違うので気をつけて手続きを行いましょう。
【許可が必要な業種例】
- タクシー業:国土交通大臣
- トラック運送業:運輸局長
- 飲食店:保健所
- 中古品販売店:公安委員会
【届出が必要な業種例】
- 軽トラック運送業:運輸局長
- クリーニング店:保健所
- 美容院:保健所
【特定の職種に必要な免許例】
- 運行管理者
- 整備管理者
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
- 旅行業務取り扱い管理者
- 美容師免許