■I.米国株式市場

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●1.NYダウの推移

 1)2/13、NYダウ▲524ドル安、38,272ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは大幅反落し、前日比▲524ドル安の38,272ドルで終えた。1日の下げ幅としては2023年3月22日の▲530ドル安以来の大きさだった。朝発表の1月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が一段と後退し、幅広い銘柄に売りが出た。NYダウは▲750超下げる場面があったが、取引終了にかかてやや下げ幅を縮めた。

【前回は】相場展望2月13日号 米国株: 新しい主役の銘柄に注目、2月中旬は売り場探しか 中国株: 上海総合は当局の介入で反発、本格上昇には経済回復が必須 日本株: 日銀・副総裁の発言で急騰も、「いびつ」な急伸

 ・1月のCPIは前年同月比の上昇率が+3.1%と、2023年12月の+3.4%から鈍化したものの、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想の+2.9%を上回った。エネルギーと食品を除くコア指数の伸び率は+3.9%と市場予想の+3.7%以上だった。

 ・市場では「FRBの利下げが夏にずれ込む可能性がある」との見方が浮上した。市場の想定より利下げの時期が後にずれ、景気を下押しすることへの警戒が強まった。米債券市場では長期金利が上昇した。金利の上昇で株式の相対的な割高感を意識した売りも出た。

 ・NYダウなど主要3指数は最高値圏にある。インフレの沈静化やFRBの利下げを織り込んで上昇した後で、主力株を中心に利益確定や持ち高調整の売りが出た。市場では「利下げ開始の遅れが意識されると株売りが出やすい」との指摘があった。

 ・個別銘柄では、化学のダウや建機のキャタピラーなどの景気敏感株が下げた。金融のゴールドマン・サックスとドラッグストアのウォルグリーンズも下落。半面、映画・娯楽のディズニーと保険のトラベラーズが上昇した。

 ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は大幅に続落した。ネット通販のアマゾンやネット検索のアルファベットなど大型株を中心に売りが出た。

 2)2/14、NYダウ+151ドル高、38,424ドル(日経新聞より抜粋
  ・前日に大きく下げた後でもあり、ハイテク株や景気敏感株の一角に押し目買いが入った。米経済のソフトランディング(軟着陸)期待などから引けにかけて買いの勢いが強まり、この日の高値圏で引けた。

  ・前日は1月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ高止まりを示したことで米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退し、NYダウは▲524ドル下げていた。年内の米利下げ開始予想に加えて米景気や企業業績への楽観を背景に相場は昨年末から上昇基調を強めていた。NYダウなど主要株価指数の最高値更新が続き相場の過熱感が強まるなか、CPIを受けて利益確定や持ち高調整の売りが出ていた。

  ・2/14には取引終了にかかて買いが優勢になった。米国株のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に対する高い評価が投資家心理を支えた。シカゴ連銀のグールズビー総裁は2/14の講演で、インフレ減速に楽観を示したうえ、インフレ率が政策目標の「2%を達成するまで利下げ開始を待つことは支持しない」と述べた。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、画像処理半導体のエヌビディアを中心に主要ハイテクや半導体が買われた。「相場を牽引してきた銘柄に買いが戻り、投資家の安心感につながった」。エヌビディアは+2%あまり上昇した。時価総額は1兆8,000億ドルを超え、ネット検索のアルファベットを上回った。今週に入って、ネット通販のアマゾンも抜いていた。

  ・半面、NYダウは一時▲80ドル近く下げる場面もあった。FRBの利下げ開始が市場の想定より遅れるとの見方が投資家心理を冷やした。2/14も米長期金利が4.2%台後半~4.3%台前半(終値は4.31%)と高水準で推移し、株式の相対的な割高感が意識された。

  ・前日に下げが目立った顧客情報管理のセールスフォースや半導体のインテルが高い。建機のキャタピラーや化学のダウなどの景気敏感株も買われた。一方、スマートフォンのアップルや小売のウォルマートは下落した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は3営業日ぶりに反発した。2/13夕発表の決算や見通しを受けて配車サービスのリフトが+3割あまり急伸した。