●2.米国株:インフレ率の高止まり⇒「高金利の長期化」懸念が深まる
1)米国のインフレ率は高止まり、金融引締め策である「高金利の長期化」は避けられず
・米4月コアPCEが+4.7%と予想外に伸び加速
⇒米インフレの根強さ示す
⇒6月FOMCで利上げ確率上昇
⇒米10年債利回りが上昇
⇒円安・ドル高が進行
のシナリオが定着する可能性が強まってきた、と思われる。
・このような構図のなか、高インフレの長期化でFRBは金利引上げの「停止」は見通せず、まして「金利引下げ」は年内の実施可能性はないと思われる。
・FRBによる高金利長期化は、徐々に米国経済の重石となり、需要は減速し、景気後退は避けられない見通し。こうした景気減速のなかで、企業業績も悪化へと圧迫を受けるだろう。FRBの量的縮小策は続行し、市場から資金が引き揚げられ続けている。その影響は、株式市場にとって「負」となる。
2)米債務上限問題を巡る交渉妥結への目途が高まる⇒米株価は大幅上昇で反応
・NYダウは5/26の+328ドル高と急伸したが、要因は
・債務上限問題解決への期待。
・直近▲771ドル下落の自律反発局面。
・3連休を控え「売り方の買戻し」。
が重なったため。
3)株価大幅上昇に対する自律的反落の可能性に備えよう!
・ハイテク株が多いナスダック総合指数が大幅高となった要因は、半導体メーカーのエヌビディアが予想を上回る好決算を発表したことにある。
・「生成AI」が注目される地合のなかでの、エヌビディアの好決算発表で、先行き不透明感が強まっていた半導体業界だけに、その株価反発は大きくなった。
・ただ、決算発表という好材料は出尽くし感があり、今後の反落に備えたい。次の決算発表まで材料的に乏しくなることもある。
・NYダウのチャートでみると、5/26の上昇は直前の下落に対する自立的反発の域内であると解釈できる。3連休を前に、「売り方による買戻し」が債務上限問題解決をきっかけにした
可能性がある。そのため、本格的な上昇パターンに転じたとは思えない。
4)市場ごとの思惑の相違に注目
・金利市場 : 年内の利下げを見込む。
株式市場 : 利下げを好材料とする。
金融当局 : タカ派色を強める。
・上記の通り、市場によって思惑に大きな相違がみられる。米金融当局のFRBは、中堅銀行の相次ぐ経営破綻の監理問題で追い詰められている。パウエル議長は逃げとして「信用問題の深刻化解決」のためとして「利上げ停止」をしたいところであろう。しかし、インフレ高止まりのなか、「金利停止・引下げ」を執行した場合、再度の「利上げ」実行に追い込まれる可能性が濃厚となる。金利が高止まりすれば、株式や経済活性化を圧迫する。その場合の景気後退の谷は深くなり、株式相場にとっても悪夢を迎える。利上げ停止・利下げは、インフレ率3%台が見通せてからの議論になるのではないか。
5) 今週の注目イベント
今週 債務上限問題
6/02 米5月雇用統計
5/31 5月ISM製造業景況指数
5/31 4月JOLT求人件数
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●3.JPモルガンのコラノビッチ氏、株を減らして現金・金の保有増を(ブルームバーグより抜粋)
1)理由:
(1) 決着がつかない米債務上限交渉
(2) リセッション(景気後退)リスクの高まり
(3) 米金融当局(FRB)のタカ派姿勢
2)コラノビッチ氏はウォール街の著名強気派だが、株式配分を引下げた。