延長保証でサステナブル社会を実現したい
おかねチップス編集部
野尻さんのお話から、ECサイトでの延長保証サービスの必要性がとてもよくわかりました。でもなぜ今までEC業界には延長保証サービスがなかったんですか?
野尻さん
住宅設備機器や車などの分野で普及するなか、延長保証サービスがECサイトになかったのは、業務負荷やコストが大きかったからですね。以前は、膨大な商品管理や受注管理などを手作業で行っていました。それが、異なるアプリケーションやソフトウェアの機能をつなぐAPIによって、クラウド運用を自動化でき、手間もコストも大幅に削減。protegerは、ECサイトに簡単に組み込めることからシェアが拡大しています。
おかねチップス編集部
野尻さんは、protegerのビジネスモデルにどのような勝算があると考えていたんですか?
野尻さん
買い手と売り手、そして社会にとっていい、嘘偽りのない「三方よし」のビジネスだと自信を持って言えるところですね。エンドユーザーはわずかな保証料で交換・修理を無償で受けられる。事業者は保証料のレベニューシェアがあり、交換・修理の債務リスクがかからない。
そして、モノを修理して長く使うことでごみを減らし、資源の有効利用にもなるので、サステナブル社会の実現の一助となれます。
おかねチップス編集部
protegerの利用が広まれば、モノの故障で嫌な思いをする人が減りそうですね。
野尻さん
そうですね。モノが壊れるという不満が溜まる体験を、なるべくポジティブなものに変換したいと思っています。延長保証によって良い体験ができたら、エンドユーザーはブランドから離反しないはずなので。
また、エンドユーザーと長期的に接点を持てるという利点を生かし、延長保証が終了するタイミングで新商品の宣伝をすることも考えています。
おかねチップス編集部
延長保証のその先の展開までお考えなんですね。
野尻さん
はい。Kivaには「後世に語り継がれるコングロマリットカンパニーを作る」というビジョンがあるんです。300年後まで続くような、複合的な巨大企業を作りたいと考えています。理想は、上場して新規事業を立ち上げ、事業や企業の買収を行い、ゆくゆくはファンドマネージャーになること。ソフトバンクのビジョン・ファンドのように大規模な投資運用をしたい。これは創業時から語っていることなんです。
おかねチップス編集部
これからの活躍が益々楽しみです。今後目論んでいることはありますか?
野尻さん
時間はかかるかもしれませんが、大手ECモールへのproteger導入を目指して、実績を重ねていきたいですね。
また、ECサイトだけでなく、リアル店舗へのproteger導入も始めたので、こちらの普及にも努めていきたいです。延長保証サービスを通して、大切なものをより長く使える社会を実現したいと思っています。
野尻さんは、延長サービスの先にある新たな未来を見つめている
野尻航太(のじり・こうた)
株式会社Kiva 代表取締役
大学在学中、営業代理店である合同会社Puenteeを設立。2019年、ウリドキ株式会社にて、EC事業を立ち上げ、別会社に事業売却を経験。2020年12月、株式会社Kivaを取締役・磯崎裕太と共同創業。2021年5月、安心して買える保証サービス「proteger」をリリース。
撮影/武石早代
取材/おかねチップス編集部
文/川端美穂