●先祖帰りするのか?

 サウジアラビアは第二次世界大戦後、石油輸出によりオイルマネーを手に入れてきた歴史がある。そのオイルマネーの恩恵を国民が享受してきた。

 石油依存から脱却し、産業を育成するという課題は何十年と言われてきたが、オイルマネーによる手厚い福利厚生や独特の政治体制などにより、国民の勤労意欲の低さが足かせになっていたという意見もある。

 脱炭素の実現性が懐疑的になり始めた中で、ロシアのウクライナ侵攻による原油の高騰によって、過去最高の純利益を得ることになり、サウジアラビアもサウジアラムコも改革の後退が十分考えられる。

 13日には中国の仲介によって、サウジがイランと外交正常化というニュースがあった。2019年にイランによってサウジの石油施設が攻撃されたにも関わらず、同盟国米国の反発も予想される中でのこの外交政策は世界を驚かせた。

 米中の両大国をうまく利用し、存在感を示したいという戦略なのではと言う憶測もある。

 オイルマネーを利用しつつ、他の分野に進出し、大国の一員になろうという野望は間違いなくあり、改革をあきらめることはないだろう。