はみ出た部分は消せるけど、足りない部分は足せない

少年B:

すごく失礼な言い方にはなってしまうんですが、年齢を重ねると、若い人たちとのギャップを感じることも増えていくと思っていて。秋田さんからは、そういうものを感じないんですよね。若い人が素直に受け取れるような言葉を使っているというか。

秋田:

わたしはいまだに20歳の自分が最高に「感性が高かった」と感じています。それゆえに、授業を受けている学生のみなさんに『今の感性を大事にしてほしいし、今考えつくこと以上をこれから考えつかないと思ってほしい。』と伝えるようにしています。

少年B:

なるほど……。正直、「今の若いやつは」みたいなことを思うことはありませんか?

秋田:

まったく思わないですね。「今のおじさんは」とは思ったりしますが(笑)。

だから「今時の若者は」って言ってる人は、子どものころは「大人はわかってくれない」と言っていたかもしれないと思ったりします。「気に入らないことを世間のせいにしたがるタイプ」なんじゃないかと。(笑)

少年B:

その発想はありませんでした……!

少年B:

では秋田さんにとって、過去とはどのようなものなんですか?

秋田:

以前ツイッターに「過去はこれからつくる」と書いたことがあります。ようは、今次第で過去はよくも悪くもなるし、今があるから過去の意味も変わっていくと。

逆に言えば、未来のことは今はどうしようもできないんですよね。つい未来の自分に期待してしまうけど、それはものすごく自分に負荷をかけることになってしまう。だからわたしは将来成功するイメージをしないんですよ。

少年B:

未来の自分に負担をかけたくないから、過去と今しか見ないという。

秋田:

「これからどう積み上げるか」じゃなくて、「過去をしっかりやっていれば、今はもう積み上がっている」という感覚ですね。だから、若い人には「将来の自分を楽にする為に今頑張ってほしい」と思います。

少年B:

秋田さんは無理せずにフラットに物事を見ているけど、ポジティブですよね。

秋田:

別段ポジティブじゃないけど、機嫌が良いだけかなと思ってます。ただ、言葉を扱う上で大事なのは、はみ出た部分は消せるけど、足りない部分は足せないということですね。

だから、そういう意味では結局、相当努力はしなきゃいけないかもしれないな、と思います。もちろん、これからもですよ。

少年B:

うっ、厳しくもごもっともなお言葉……! ありがとうございました!

(執筆:少年B 編集&撮影:じきるう)