神戸近郊の松屋の店舗

牛丼チェーン「松屋」を展開する松屋フーズホールディングス<9887>は、2024年4月に賃金を10.9%引き上げる。正社員1835人が対象で、上げ幅は2001年以降で最大。

牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス<7550>は、すでに2023年4月に正社員1210人を対象に賃金を9.5%引き上げており、上げ幅は過去最大となった。

同社では2030年まで毎年賃上げの実施を決めており、2024年4月は過去最大を更新できるのか注目が集まる。

一方、牛丼チェーン「吉野家」などを展開する吉野家ホールディングス<9861>は、賃上げについては現時点では公表していない。

ただ2024年2月期の営業利益が当初予想の1.47倍に増加(68億円)する見込みで、これに伴って配当を6円増配することを決めており、賃金についても何らかの見直しがありそう。

2023年は多くの企業が賃上げを実施したものの、物価の上昇に追いつけず、実質の賃金は目減りしている。このため政府は2024年についても経済界に賃上げを要請しており、前年に引き続き多くの企業がこれに応じるものと思われる。過去最大は牛丼以外にも広がりそうだ。

さらなる成長を目指して賃上げを実施

松屋フーズは2024年4月1日に給与改定を実施し、ベースアップと定期昇給分などを合わせて、10%超える賃上げを実施する。同時に新卒採用の初任給も2万円多い25万円に引き上げる。

同社は、2024年3月の業績を上方修正しており、営業利益が3.5倍(35億円)に増加する見込みで、2025年3月期以降もさらなる成長を目指して賃上げに踏み切った。

奨学金返済支援制度やダナン外国語大学とのインターンシップ協定なども実施し、賃上げとの相乗効果で、優秀な人材の確保や、従業員の定着率やモチベーション(やる気)の向上になどに取り組む。

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2030年まで毎年ベースアップを実施

ゼンショーは2023年4月1日に、ベースアップと定期昇給を合わせて10%近い賃金の引上げを実施しており、合わせて新卒採用の初任給も2万8000円増やし25万円に引き上げた。国内外の優秀な人材を確保し、持続的で加速度的に企業を成長させるのが狙いという。

また同社では継続的な賃上げを行い個人消費を刺激することを目的に、2030年まで毎年ベースアップを実施することを労働組合と合意している。

2023年の賃上げは、2023年3月に発表を行っており、2024年についても3月に賃上げの発表があるものと思われる。

同社も2024年3月期の業績予想を上方修正しており、営業利益は当初より27.2%上振れする。松屋フーズの10.9%を超え、牛丼業界最大の賃上げは実現するだろうか。