昨今、機能素材が溢れているけど本当に必要なモノってなんだろう? そもそも街着メインであれば必要最低限を知っておけばOK! ということで、「オビューズ」代表の坂井さんに服を楽しむための機能素材について聞きました。

機能素材を知れば服がもっと楽しくなる!


「OBVUSE」代表・坂井 俊太さん|英国バーバリーでキャリアを積み、現在は自身のブランド「パラトレイト」を手掛ける一方、ダイワの外部デザイナーを務めるなど最先端の機能素材と向き合う日々。趣味は釣り

現在、アウトドア由来の機能素材は当たり前のようにカジュアルウエアに落とし込まれている。であれば、ある程度は知っておきたいって思うのが服好きの性。そこで機能素材に精通する坂井さんに、知っていたら服がもっと好きになる、そんな機能素材のことを伺った。

「ファッション視点で機能素材を着るのでしたらシェル、フリース、中綿の3種類を把握しておけば大丈夫。機能素材って多いし、複雑……に見えますが、それは各メーカーが独自銘柄の商品を作ってるからであって、実際はそんなに難しいものではないです。そもそも過酷な自然環境を念頭に開発されたモノであり、正直、街中では機能の差異を感じることはほぼないです。それなら気になる銘柄の服を着ることこそが、機能ウエアを楽しむ上で一番大事だと思います」

機能素材とは?

防水性、透湿性、保温性、通気性などの機能を有した素材のこと。この機能に関しては人工的に与えられたものがほとんどだが、中には自然由来のものも存在する。機能素材の服はテクニカルウエアやパフォーマンスウェアなどと総称される。

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シェル|防水性と透湿性を両立する機能素材の花形

「機能素材として一番身近なのがシェル素材です。シェルには耐水圧があり、その数値の大きさ=良いモノと認識されてきました。確かにそれはひとつの指標となりますし、実際に間違いではないです。例えば傘の耐水圧って一般的に500㎜程度といわれ、一方シェルは耐水圧10000〜20000㎜というスペックです。こうして比べてみると、これがどのくらい日常使いにおいてオーバースペックなのか容易に判断がつきますよね(笑)。なので昨今は、その辺りの価値観の見直しがなされ、より透湿性が高く、軽量なものが好まれる傾向になりました」(坂井さん)

[素材の特徴]

雨などの水分を弾く防水性と身体から発せられる蒸気を外へ出す透湿性、この両方を備える生地。ハードとソフトの2種に分類され、さらに2、2.5、3L(レイヤー)に分けられる。このLとは生地層の数のことを表し、一般的に3Lの方が耐久性が高くなる。

代表的な種類

・ゴアテックス

・ハイベント

・イーベント

・オムニテック

・パーテックス

・オーロラテックス

3レイヤー、2レイヤーってちゃんと理解してる?

レイヤーというのは、主に3種類で、表地+メンブレン+裏地の組み合わせ方で決まる。この中で防水透湿性能を請け負っているのが中間層のメンブレンだ。水の粒子より小さく、水蒸気を通す孔が空いており、数が多ければ雨を通しやすいが透湿性が高く、逆に孔が少なければ防水性は高くなるが透湿性が下がる。

ブランドオリジナルの素材を使用した3レイヤー構造。極薄生地の軽やかな1着。9万6800円(オビューズTEL03-6804-3033)

英国生まれの防水透湿素材イーベントを使った3レイヤーシャツジャケット。4万9500円(バンブーシュートTEL03-5720-1677)