どうする? 受け取った確定拠出年金。資産の取り崩しに有効なファンドとは

前回の記事では、確定拠出年金の受け取りの注意点について触れ、運用しながら年金で受け取る場合について少しご紹介いたしました。そこでは答えだけ書いてしまった感じでしたので、今回は運用しながら受け取ることについて、より掘り下げてみたいと思います。

取り崩し期にリスクを本当に取れるのか?

運用しながら取り崩しをシミュレーションすると、簡単に、

・資金1,000万円を
・リターン7%で運用しながら
・毎月8万円を取り崩した場合
・18年1カ月受け取ることができます

という試算ができてしまいます。シミュレーションと言いますか、ただの計算結果なのですが、これは非常に危ういと感じています。

これは多くの資産ツールにも言えることなのですが、投資にはリスクもあります。積立時期でしたら、長期投資、追加投資ができる機会もあるため、景気が悪い時は「安く買える」チャンスかもしれません。ですが、取り崩し期においては、値下がりのリスクも考慮しておくべきだと感じます。

それでは、リスクを考慮したシミュレーション結果を見てみましょう。期待リターン7%は、一般的には株式に投資した場合の期待リターンと言われています。先進国に投資する株式型ファンドのリターンやリスクを確認してみます。下記はあるファンドの月次レポートです。

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 どうしても1年間に37%のリターンだったことや、10年間のリターンが13%という目覚ましい結果に目が奪われがちですが、ここではリスクに注目してみてください。直近1年の数字が低く出ていますが、17%を基準に3年、5年、10年とリスクにはあまり差がないことが確認できると思います。リターンのブレに比べ、非常に小さな差になっています。直近だけではなく、リスクについてはいつの時期を取っても、このような数字、つまり16~19%の範囲内で推移しています。長期投資ではリスクは下がると言われていますが、厳密には長期投資をしても、1年当たりのリスクは下がるわけではないんです。

そこで今回はリスクを18%に想定してシミュレーションしてみたいと思います。
三菱UFJ投信のサイトで、有用なシミュレーションツール(取り崩しシミュレーション)が 用意されていますので、試算してみたいと思います。

結果は下記の図の通り、緑色が想定リターンになるのですが、65歳からの18年後、83歳ごろに資産が0になっています。リスクが0でしたら、そこでだけ見ていればいいのですが、投資にはリスクが付き物です。リスクを考慮した場合、随分と見え方が変わってくるかと思います。

パッと図を見た場合、赤色の増えている線に目がいくと思いますが、これはこのファンドにおいて運用成績が上位5%に該当する時、つまり本当に運よくいった場合の試算になります。老後の運用にそんな奇跡を求めるのは止めましょう。続いて、水色を見てください。水色は下位30%、うまくいかなかった場合の試算になります。11年少しで資産が0と、枯渇する結果となっています。

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 3割もの人が想定(18年)より7年も早く資産が枯渇するかもしれない投資、しかも上位30%であっても、お金が減らないとまではいきませんので、取り崩し時期の株式だけへの投資は割に合うとは言い難い、危ないものと感じていただけたのではないでしょうか。

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それではバランスファンドはどうだろうか

次は株式への配分が30%、債券の配分が70%のバランスファンド、いわゆる安定型のあるバランスファンドの数字になります。

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先ほどと同じように、65歳から1000万円を運用しながら受け取った場合をシミュレーションしてみます。3.7%で運用しながらですと、毎月6万円を約19年間受け取りできる結果となります。7%で運用した場合は毎月8万円でしたので、2万円ほど少なくなっています。想定するリターンが低いので、当たり前ですが毎月2万円少ないというのはかなり残念な気持ちになりそうです。

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ですが、ご覧ください。下位30%の水色の線であっても、17年以上枯渇しない試算結果となっています。株式のみで投資した場合が11年でしたので、かなり運の要素が減っているのではないでしょうか。みなさんはどちらがお好みですか?