アマゾンジャパンが2017年開始したネットスーパー事業は、コロナ禍を経て、大きく成長している。自社運営のAmazonフレッシュに加え、ライフコーポレーション、成城石井、バローのAmazon.co.jp上のネットスーパーも展開している。時短・利便性だけでなく、リアル店舗に引けを取らない鮮度、品ぞろえ、コストパフォーマンスでさらなる利用者拡大を目指す同社の戦略について、荒川 みず恵Amazonフレッシュ事業本部長に聞いた。
取材日:7月31日 於:アマゾンジャパン 目黒オフィス

コロナ禍で利用者数、便利さ・鮮度が好評

<Amazonフレッシュは日本で2017年開始>


――Amazonフレッシュ開始の経緯を教えて下さい

荒川 すでにアメリカでAmazonフレッシュを開始していたのですが、日本でも需要を見込み、2017年プライム会員向けにスタートしました。厳選した旬の野菜、果物、魚や肉などの生鮮食品をはじめ、総菜、ミールキット、専門店のこだわりの食材、日用品を最短約 2時間でお届けしています。

<スマホ・PCで注文できる>


――利用者はどのような人が多いのですか

荒川 プライム会員登録時に登録者のデモグラフィックは取りませんが、ほかの調査などを通じて知る限りは、共働きのファミリー層、50~60代を中心に幅広い世代にご利用いただいていることがわかっています。外出が制限されたコロナ禍で、利用者数が大きく伸びました。また、利便性・生鮮食品の鮮度などが好評で、コロナ後も想定以上の(ユーザーの)定着率となっています。

――Amazonフレッシュの利用可能エリアを教えてください

荒川 2023年8月時点での配送エリアは、東京都19区6市、神奈川県2市 、千葉県6市となっています。そのほか、関東・関西でライフコーポレーション、関東・東海で成城石井、東海でバローと協業し、対象エリアのプライム会員は、追加の登録手続きや会費なしで、各社のAmazon.co.jp上のネットスーパーを利用できます。

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他社スーパーの商品も購入できる強み

――他社のネットスーパーを運営することで顧客の奪い合いにならないのでしょうか

荒川 もともと、Amazon.co.jp上で、自社の小売り部門だけではなく、より幅広い品ぞろえ・サービスを展開するために出品ビジネスがあるのと同じ考えです。Amazonフレッシュでもちろん品ぞろえを追求はしていますが、ライフのようにすでにブランドを確立し、オンラインを強化したい企業と、お互いに強みを生かせると考え、協業しています。

Amazonフレッシュでは、できたて総菜・焼きたてパンなどは提供していないので、各社のネットスーパーと品ぞろえが違います。顧客動向を見ていると、2社使い分けている人、あるいは3社使い分けている人というのも相当数いらっしゃいます。各スーパーでしか買えないプライベートブランド(PB)もありますし、Amazonフレッシュでしか買えないミールキットといったオリジナル商品、取引先とAmazonフレッシュ限定で作っている商品もありますので、それぞれ品ぞろえの強みが違い、顧客を取り合うというよりは、プライム会員のお客様が、状況によって使い分けていただければと思っています。

<ライフの総菜も人気>


――各社のPBが人気なのでしょうか

荒川 PBだけが人気なわけではありませんが、顧客によっては、提携先の各社の「この商品が買いたい」といったこだわりがあり、特定の商品にファンがいるようです。成城石井の魅力的な商品、ライフのように、少しリーズナブルな価格帯のPBから、ライフプレミアムとかBIO-RALといったちょっとハイエンドなこだわりのものまで幅広くお持ちだったので、やはりそういったものはアマゾンではそう簡単に取りそろえられるものではありません。魅力的な品ぞろえをぜひアマゾン上でも展開していただきたいですし、また、各社ももっとPBなどを幅広い層に知ってほしいというお互いの意向が合致しています。

――今後の提携先について教えてください

荒川 現在、首都圏、関西、東海と提携先を広げています。その他のエリアでも、お客様の需要があるところは考えていきたいと思っています。

<成城石井の商品も注文できる>