<3>自身の目標を明確化させること

次に重要なことはサーチャーとなる個人が自身の目標意識を明確に持つことです。今まで多くの中小企業、大企業の社長からお話を伺いましたが、共通して有していると感じる重要な要素は自身のミッションを明確に設定しており、ミッション達成に対する執着心を持っていることです。

一般的に社員と社長を比較した際、社員は会社の意義について社長から教わるのに対し、社長は常に会社の存在意義を考え、社員一人一人の業務が社会的にどのような意味合いを持つのかを社員に伝達する存在であることが挙げられます。一見単純作業であるような業務も会社が回り社会意義を生み出すために必要な業務であれば、社長はその価値を理解し、社員に誇りとやりがいを感じてもらえるように取り計らうことが重要な役割の一つだと言えます。

M&Aが行われた企業に初めて社長としてあなたが就任したと想像してください。1日目に社員を前にして、「なぜ今回社長になられたのですか?どうしてここ(この会社に)来られたのですか?」と聞かれたらどのように答え、社員に何を伝えますか?

「会社は人」であるという事が良く言われますが、最も理想的な組織は社員一人一人が自身の業務のやりがいを持ち、職場に誇りを持っている状態であると考えます。こうした組織ができた時、組織はその人数以上のパフォーマンスを発揮します。

こうした組織を作るためにもサーチャーになることを志した時から何故自分は社長になるのか、その企業において社長として何を達成したいのか、社内外に共有する確固たる目標を創ることが重要です。

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<4>自分の周りにコミュニティーを創っておくこと

最後の重要な点は幅広い経営者コミュニティーを構築しておくことです。

以前弊社が投資をした保育園案件でサーチャーの心が折れてしまった例がありました。その方はMBA取得者で優秀でしたが、承継が行われた直後に新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが起こり、保育園が休園になるなど、予期せぬ困難に見舞われました。そして、経営難について共有できる仲間がいなかったことから、一人で抱え込んでしまい最終的には経営ができなくなるほど追い込まれてしまいました。

会社経営をするうえでは予想外の問題は必ず発生します。そして経営者は孤独になりがちです。こうした時に近くに同じ苦労を共有し、時には助言しあえる仲間がいることはとても重要です。

私自身、前職は外資系の大手企業にいたため中小企業の経営者の知り合いはほとんどいませんでした。そこで大学のOB会コミュニティーに参加するなど積極的に様々な経営者のとの接点を設けました。こうした経営者コミュニティーでは互いの会社で抱える課題を共有し、プロジェクトについて意見をもらったり、協力し合える知り合いを紹介しあったりする機会も多くあります。

実例を挙げますと、過去にご一緒したサーチャーは、投資実行をした際に従業員の就業規則等について知識が欲しいと感じたり、他業界での営業方法等を参考にしたいと考えた際に、このような個人のネットワークを活用されていました。

前述のように、特に中小企業を経営する中では幅広い知見が求められることが多くあります。幅広く全ての知識を有することは難しいですが、社外のコミュニティーに所属することで、様々なノウハウや知見を得ることができたり、サポートしていただける状況を作ることができ、結果として自身の経営がより良いものになります。

実際に、Growthixグループにおいても、サーチャーが集まるコミュニティー「ネクストプレナー大学」を運営しておりますが、これに限らず、世の中にある様々なコミュニティーに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。