4月1日から“デジタル給与払い”が解禁となり、これまでの現金支払いと銀行口座振込に加え、給与を受け取る方法の選択肢が増えることになります。はたして、デジタル給与払いはどこまで広がるのでしょうか。

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給与のデジタル払いは従業員の同意が必要

デジタル給与払いとは、デジタルマネー(電子マネー)で会社の資金移動業者の口座から、従業員の資金移動業者の口座へ移動することで給与を支払う方法です。

資金移動業者とは、通貨をデータに変換しデジタルマネーとして支払いや資金の移動といった為替取引を行う、銀行以外の業者のことで、財務局などに登録(2022年12月31日時点)されている資金移動業者は83社あり、〇〇ペイなどが資金移動業者に該当します。

賃金の支払いは、労働基準法(第24条第1項)で、通貨で支払うと定められていますが、従業員が同意すれば銀行口座に振り込む(労働基準法施行規則第7条の2)ことが認められています。給与デジタル払いも、従業員の同意が必要で、従業員が指定するデジタルマネーの口座に振り込まれることになります。

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急拡大している決済アプリの利用額

資金移動業者が提供するサービスの代表例としては、スマートフォンの決済アプリがありますが、日常的にスマホ決済を利用している人は、いちいち銀行から現金を引き出し決済アプリにチャージする手間が省けることから、歓迎する声も上がっています。

デジタル給与払い解禁は、2018年には1,650億円だった決済アプリの利用額(キャッシュレス推進協議会調査)が、2022年には10兆7,986億円にまで急拡大しているなど、キャッシュレス化が進んでいるという背景もありますが、歓迎する声がある一方で、損害が発生したときの補償や安全性について懸念を抱く人も少なくありません。