暗号資産交換業大手の米Coinbase(コインベース)は4月24日、米証券取引委員会(SEC)へ要求している嘆願書の回答を求め、米連邦裁判所へ行政手続法の発動を要請したと発表した。2022年7月に提出した暗号資産などに関する規制の明確化を求める嘆願書で、約9カ月放置されていると主張している。

コインベースは同年7月21日にSECへ「デジタル資産証券規制に関する規則制定を求める請願書」を提出。デジタル資産証券を取り扱う上での規則を提示、採択するよう求めるもので、明確性や確実性を保証するための具体的な質問50項目に対する回答も求めていた。

行政手続法の発動要請は、SECからの回答がいまだに得られていないことによる。行政手続法が施行されれば、裁判所からSECに対し、嘆願書へ対応するよう要求することができる。

SECは4月18日、米下院金融サービス委員会で開かれた公聴会でゲンスラー委員長が「法令順守違反が事業モデルとして確立している。暗号資産のエコシステムには、SECのような“警察官”が必要である」と発言し、野党共和党から非難を浴びている。SECはほとんどの暗号資産は米証券法の規制対象である「有価証券」に該当するという立場をとっているが、米連邦政府レベルでは暗号資産に対する包括的な規制が存在していない。

SECは3月22日にCoinbaseへ、強制措置を講じる前に通知する「ウェルズ・ノーティス」を通達している。具体的な調査対象は明らかにしていないが、Coinbaseのプラットフォームで取引されているデジタル資産や、Coinbaseのユーザーが保有する暗号資産を預け入れて報酬を受け取る「ステーキング」サービスなどになると推測されている。

証券法違反で近くCoinbaseを提訴するとみられるが、同社はプラットフォームで取引される資産の審査プロセスは「(米ナスダック市場への)上場の過程で、詳細はSECと共有している」と表明しており「有価証券に該当する商品は提供していない」とも主張。「SECの対応は一貫性がない」と指摘しており「法的プロセスは歓迎する」と述べ、対決姿勢を明らかにしている。