米チケット販売大手のチケットマスターは3月29日、アーティスト向けにイーサリアムNFTトークンゲート機能を公開したと発表した。米人気ヘビーメタルバンドのアヴェンジド・セヴンフォールド(A7X)と提携し、NFTを所有するファンへコンサートなどへの限定アクセスを提供する。

A7XがリリースしているNFTコレクション「Deathbats Club」の所有者へ、6月に米ニューヨークとロサンゼルスで開催予定のアリーナ公演のチケット優先購入権を提供する。チケットマスターでの購入手続きの際にウォレットを接続し、対象となるNFTの所有権を確認以外は、通常購入時と手続きはほぼ同じという。

チケットマスターは2022年に開かれた「NFT LAカンファレンス」をきっかけにA7Xと、アーティスト中心のNFTプロジェクトを作成するWeb3チーム「Bitflips」と提携し、新機能の開発にいたったという。ボーカル担当のM.シャドウズは、NFTゲート機能を利用して約1000枚のチケットが購入されたとコメントしている。

トークンゲート機能の発表を受け、Deathbats Clubの価格も急上昇。NFT情報サイト「NFTgo」によると、フロアプライスは直近1カ月で2倍以上になり、過去最高の約300ドル(約4万円)相当の0.17ETHに達している。

M.シャドウズはWeb3への関心が深く、Deathbats Club発売以外にも、人気NFT「CryptoPunks」「Bored Ape Yacht Club」などを所有している。NFTがファンコミュニティー形成だけでなく、ファンのエンゲージメント向上やロイヤルティー提供の上で重要だと指摘し、規模を拡大するためにチケットマスターのような大きな組織の参加の必須だと述べていた。

一方で、すべてのファンに価格も含めてNFTが受け入れられるとは考えていないとも認めており、チケットマスターとの提携は「NFTを入手するに値するメリットを具体的な例として示すことが目的」とも明かしている。近いうちに、NFT所有者は無料でチケットを入手できるロイヤルティープログラムをPolygonチェーン上で始めると表明。NFTのグレードアップでより多くの限定アクセスや特典を得ることができるようにするとも述べている。

チケットマスターはこれまでに、FlowブロックチェーンとEthereumスケーリングネットワークPolygonを介した米プロフットボールNFL のNFT発行などを手がけている。トークンゲート機能の内容は独自のNFTコレクションを持つアーティストやNFTコミュニティーと提携したアーティストが自由に決めることができ、将来的にはプレミアシートの提供やサウンドチェックへの参加体験なども想定しているという。