さそり座が消える!? 2023年初秋の天体ショー「アンタレス食」の見ごろ【スマホニュース】
月や太陽が隠れたり、欠けたりする日食や月食と同じように、夜空を彩る星が消える現象を知っていますか？ そんな珍しい天体ショーのひとつ、さそり座を構成する1等星アンタレスが、月の後ろに回り込み消えてしまう「アンタレス食」が2023年9月21日（木）に発生します！
アンタレス食とは
アンタレス食とは、夏の星座として知られるさそり座で最も明るい赤い星アンタレスが、月によって見えなくなる現象のこと。具体的にどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。■アンタレスは太陽よりも大きく明るい
星座のイラストではさそりの心臓部分に描かれるアンタレスは、肉眼でもはっきり見えるほど明るい星です。太陽系からおよそ550光年の距離にあるため想像できませんが、大きさは太陽の680倍、地球の約7,400倍という途方もない大きさ。さらに、明るさは太陽の45,000～129,000倍なのだとか。さそり座は、ギリシア神話にも登場する狩人オリオン（オーリーオン）を刺し、命を奪った大サソリが天に昇ったものとされています。このため、同じく死後星座になったオリオンは大サソリを恐れ、今でもさそり座の出現する夜空には姿を見せず、さそり座が西に沈むと東の空から現れるという神話があるそう。
■アンタレス食はなぜ起きる
月が日々移動していく中、月の背景にある天体が隠れる現象を「星食」や「掩蔽（えんぺい）」と呼びます。星食は月の通り道でしばしば発生するのですが、日常では気づきにくいもの。ところが、1等星のような明るい恒星の場合、その様子を肉眼でも見やすく、観察のチャンスなのです。2023年9月のアンタレス食は、次のような流れで発生・終了します。
- 1. 月の光っていない方の縁からアンタレスが隠れ始める
- 2. 月によってアンタレスが見えなくなる
- 3. 月の明るい方の縁からアンタレスが出現する
アンタレス食の見ごろ
国立天文台の情報をもとに、2023年9月のアンタレス食の観察に適した見ごろをみていきましょう。■アンタレスの出現に注目
月の暗い方の縁がアンタレスに重なる「潜入」が始まるのは、9月21日の17時過ぎ。ところがこの時間はまだ日が沈んでおらず、残念ながら見ることは難しいでしょう。東京を例にすると17:41に日が沈み、そのおよそ1時間後の18:51に月の明るい方の縁から現れる、アンタレスの「出現」を観察することが可能です。
日食や月食のように、大きく見えている星が明るくなっていくのとは異なり、恒星は点のように見えるので、出現の様子は一瞬。出現時間の前から待機しておかないと、決定的瞬間を見逃してしまいますよ！
■アンタレスの場所はアプリで見つけよう
明るいアンタレスは比較的見つけやすい星ですが、星座を見なれていない人でもかんたんに探すことができるのがスマホのアプリ。星空をシミュレーションしてくれるアプリ「Sky Tonight」なら、日付を入力するだけで、かんたんに星座や月、太陽の場所を表示できます。2023年9月21日18時51分に設定すると、南西の方角のやや低い場所にさそり座があり、その胴体部分に月が。
アンタレスの位置をあらかじめ調べておきたいときは設定時間を調節し、画面右下にあるコンパスアイコンをタップ。スマホの画面と画面内の星の位置がリンクするので、かんたんに見つけられて便利です。
日没から1時間ほどたつと空はかなり暗くなります。京都より東のエリアではほぼ空が暗くなっているため、アンタレスの出現は肉眼でも見ることができそうですが、さそり座の位置が低いため、できるだけ南から南西にかけて開けた場所で観察するのがおススメです。
京都以西、とくに沖縄では日没からあまり時間がなく、出現を見るなら双眼鏡などが必要かもしれません。
いずれの場所でも、スマホのアプリで場所を特定し、カメラのズーム機能を使うと出現の瞬間を捉えられる可能性がぐっとアップしますよ！
出典：国立天文台
