流星群が見られなくなる!?しぶんぎ座流星群減少は「木星の影響」か?
多くの流星が観測できる「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」を三大流星群と呼んでいます。しかし、2022年1月4日(火)に見ごろを迎えたしぶんぎ座流星群では、予想に反して少数の流星しか観測できませんでした。これは、流星群が衰退期に突入したという可能性も考えられるというのですが……。
はたして今後、流星群を見ることができなくなってしまうのでしょうか?
流星群とは?
夜空に軌跡を残しながらスーッと消えていく流星。たくさんの流星が、ある点を中心に放射状に出現するものを流星群といい、「4月こと座流星群」や「オリオン座流星群」など、1年を通じてさまざまな流星群を見ることができます。なかでも1時間あたり100個前後の流星を見ることができるしぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群は三大流星群の名で親しまれ、ニュースや天気予報でも取り上げられるほど。しぶんぎ座流星群の出現数が減った理由
当初の予想では、2022年のしぶんぎ座流星群は1月4日に最も流星の出現数の増える極大を迎え、暗い場所なら1時間あたり50個は観測できるといわれていました。しかしいざ期待して待っていると、見えたのは10個程度。このギャップはどこからきたのか、その原因を考えていきましょう。■観測条件は良好だった
過去の記録から、2022年1月4日午前5~6時ごろ、しぶんぎ座流星群は流星の出現が活発となる極大時刻になると予測。前日の3日が新月だったこともあり、日本では絶好の観測条件がそろっていたのです。これは1時間あたり50個、天体観測に慣れた人なら100個以上を捉えることのできた、8年前の2014年と似ていたため、期待が高まっても当然です。▲1月4日の東京の星空。国立天文台より
ところが極大予想の時刻を過ぎても流星が増加してきません。実際に見えたのは半数にも満たないほどで、国立天文台の質問電話には、「思ったより少なかった」「見られなかった」といった声が寄せられたそう。
■木星に吸い寄せられたのが原因か?
なぜ予想に反してしぶんぎ座流星群の出現数が少なかったのでしょうか。難しい理由は省き簡単に解説すると、その原因は木星にあるのかもしれません。しぶんぎ座流星群に限らず、流星は宇宙にある塵(ちり、流星物質)と地球の軌道が交わることで発生します。オリオン座流星群の元は、有名なハレー彗星から放出された塵ということがわかっているように、流星の母天体と地球の軌道を計算することで、いつ極大が訪れるのかを予測するのです。
しぶんぎ座流星群の元となる塵は、地球だけでなく木星の軌道とも交差しています。木星は太陽系で最大の惑星のため引力も大きく、接近する天体の軌道を変更するほどだそう。今回のしぶんぎ座流星群で流星があまり見られなかったのは、この木星の引力が原因ではないかと考えられていますが、なぜそんな不安定な状況にありながら、毎年のように多くの流星が出現するのかは謎のまま。
木星は12年かけて太陽を周回し、しぶんぎ座流星群の元となる塵の軌道にも12年に1回接近します。最近このふたつが接近したのは2020年の4月ごろ。このときに木星の引力の影響を受けた塵が2年近くをかけて地球に達し、今年のしぶんぎ座流星群となったのです!
■今後しぶんぎ座流星群は見られなくなるの?
2022年同様、2023年も木星の影響を受けていることが考えられ、同じく出現数が少ないと思われます。さらに、極大が1月4日の正午ごろと予測されているうえ、月の入り時間が夜明けに近く、観測できても1時間に10~20個と条件に恵まれているとはいいがたい環境に。もうひとつ気になるのは、しぶんぎ座流星群全体が衰退期に入った可能性があるという点です。現在しぶんぎ座流星群の出現数減少の謎は解明されておらず、木星の影響というのが有力な理由のひとつとされつつも、いまだ不明ということは、逆に大量の流星が降り注ぐ一大天体ショーが見られるチャンスも捨てきれません。2023年も木星の影響を受けた状態と予測されているため、観測を続けて原因が究明されるのを待ちましょう♪
出典:国立天文台
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