2種類あるダイバーシティ

高千穂大学高千穂学会の中村豊氏は、ダイバーシティを大きく下記の2つの種類に分けています。
- 表層的ダイバーシティ:生まれ持ったもので変えようがないもの
- 深層的ダイバーシティ:簡単なものに見えて実は複雑なもの
それでは1つずつ解説していきます。
表層的ダイバーシティ
表層的ダイバーシティとは、生まれ持ったもので変えようがないもの、自分の意志で変えられない下記のような属性を指しています。
- 年齢
- 性別
- 人種
- 国籍
- 民族
- 障害の有無
- 性自認・性的指向
深層的ダイバーシティ
一方で深層的ダイバーシティとは、一見するとシンプルな問題に見えるが、実際は大きな違いがあり、複雑な側面を持っている下記のようなものを指しています。
- 価値観
- 宗教
- 職務経験
- コミュニケーションのとり方
- 第一言語
- 組織上の役職や階層
- 仕事感
- 学歴
- 嗜好
このような違いは気づきにくいものですが、これらの深層的ダイバーシティをいかに理解するか、どのように生かしていくかが組織マネジメントの課題となるでしょう。
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ダイバーシティ経営によって期待できるメリット

ダイバーシティ経営をすることによって、企業と従業員にとって下記のようなメリットを期待できます。
- イノベーションの創出
- レジリエンスの強化
- 優れた人材の獲得
それでは1つずつ解説していきます。
イノベーションの創出
世界8カ国、1,700社以上の企業を対象にした調査によると、ダイバーシティとイノベーションの成果には相関関係が認められています。同調査では、ダイバーシティ経営ができている企業とできていない企業で、イノベーションによる売上の割合を調べています。
この結果、前者では45%でしたが後者は26%にとどまっていました。つまり、年齢や出身国、性別のみならず、教育やキャリアパスなどの幅広い要素で多様性を確保していることが、イノベーション創出のカギとなるのです。
レジリエンスの強化
投資銀行大手クレディ・スイスが行った調査によると、全世界の時価総額100億ドル以上の企業で、女性取締役が一人いる企業の方が、いない企業よりも2008年に起きたリーマンショック後の回復力が強くなっていることがわかっています。
変化のスピードが速く、いつ何が起こるかわからず先行きが見通せない「VUCAの時代」であるからこそ、ダイバーシティ経営によってレジリエンスの強化を図るのは、これからの時代で生き残るには不可欠と言えるでしょう。
優れた人材の獲得
日本を含む世界各国の主要企業のCEOに対して行われた調査によると、ダイバーシティ経営によって得られた最も大きなメリットは「人材の獲得」だということがわかりました。
多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れて、その人材が活躍できる職場を用意することは、企業にとって優れた人材を獲得できるチャンスとなります。