みなさま、こちらの画像を目にしたことはありませんか?

遺伝的アルゴリズムで最高にエッチな画像を作ろう!」と題されたこのコンテンツ。

当初は「無理だろ」「初期値どうなってんだ」「人類がモザイクに欲情しだすのが早い」など、散々な言われようだったこの画像ですが、インターネット上のエッチな皆さんが数千万回のクリックを繰り返した結果、なんと奇跡的に裸婦の画像が爆誕。SNSで大いに話題になり、数多くのメディアにも取り上げられました。

大きな話題となったこのコンテンツは、いったいどのような人の手によって誕生したのでしょうか。今回は「遺伝的アルゴリズム~」の制作者であり、月間最大400万PVを誇るWebサイト『ゲーミングチャーハン』の管理人・群青ちきんさんに、「発想の原点」や「創作への向き合い方」についてお話を伺いました。

群青ちきん

『ゲーミングチャーハン』の管理人。「遺伝的アルゴリズムで最高にエッチな画像を作ろう!」「密ですゲーム」等、開発したゲームがインターネット上で大きな話題となる。

聞き手:少年B

フラッシュゲームを産湯に育ったオタクライター。インターネット老人会の一員を自称。「密ですゲーム」の都知事レベルは23。

サイトを立ち上げた理由は「暇だったから」

少年B:

はじめまして。群青ちきんさんは、普段は何のお仕事をされているんですか?

群青ちきん:

あ、僕は大学生です。

少年B:

えっ、大学生なんですか!? ということはプログラミングやエンジニア系の学部に所属されている……?

群青ちきん:

いえ、学部は経済なので、全然関係ないですね。大学生はヒマなので、趣味で勝手にやってるだけです。

▲取材はリモートで行いました 左上:少年B(ライター) 右上:じきるう(編集) 下:群青ちきんさん

少年B:

ええ!? それじゃあ完全に趣味なんですね……! いったいどうしてゲーム作りを始めたんですか?

群青ちきん:

小学生のころ、ブラウザゲームが好きだったんです。2008年ごろかな、ブラウザゲームが流行った時期があったじゃないですか。たんしおレモンさんや、すずぬーとさんのゲームをよく遊んでました。

少年B:

ああいうゲームを自分でも作ってみたいなと思って……ということですか?

群青ちきん:

はい。小学生の頃にちょっと調べて、同じようなことをやってた時期がありました。その時はすぐ飽きて辞めちゃったんですけど、大学生になって時間もできたので、もう一度やってみようと思って。

▲群青ちきんさんが小学生のころから好きだったというウェブサイト「たんしおレモン

少年B:

軽い気持ちで作ってみたら、想像以上に大ウケしたと……?

群青ちきん:

そうです。そもそもサイトを作ったのも、強い意思とか高い目標があったわけではなくて。タダでさえヒマな大学生が、感染症騒ぎのせいで予定も全部ぶっ飛んでしまったので、時間が有り余ってたんですよね。だから、ほんとに理由は「暇だから」です(笑)。

少年B:

あれだけバズり倒したのに、無欲の勝利だったんだ……!

群青ちきん:

あとは、ゲームの『UNDERTALE』や、ボーカロイド楽曲やPVを作っている機能美Pさんの映像作品を見て「自分でも何かを作ってみたい」という気持ちが芽生えた部分もあります。「こういう作品を作って有名になりたい」とかではなく、「自分も何かしら作る側に回りたい」という気持ちが強かったですね。

(広告の後にも続きます)

アイデアのきっかけは「ふわふわしたイメージ」

少年B:

「遺伝的アルゴリズムでエッチな画像を作ろう」もそうですが、群青ちきんさんの作るゲームはアイデアがぶっ飛んでますよね。ああいう発想はどこから生まれてくるんですか?

▲群青ちきんさんのホームページ「ゲーミングチャーハン

群青ちきん:

突然です。たとえば最初に作った「そらとぶあざらしさん」というゲームは、道を歩いてるときにふっと「あざらし飛ばしたいなー」と思ったんです。

少年B:

ふっと「あざらし飛ばしたいなー」って思うことなんてあります?????

群青ちきん:

友達が「赤ちゃんをラグビーボールみたいに投げたいな」って言ってたんです。赤ちゃんってすごく投げやすそうなフォルムだなぁって……。でも、それは倫理的にマズいじゃないですか(笑)。

少年B:

はい、めちゃめちゃマズいと思います。

群青ちきん:

そしたらある時、その話とイメージがあざらしとくっついて。そういう、頭のなかにいくつもあるふわふわしたイメージが、あるとき合体することがあるんですよね。

▲群青ちきんさんの第1作「そらとぶあざらしさん

少年B:

あんなにかわいらしいゲームの裏に、そんなきっかけがあったとは思いませんでした……! 頭の中にアイデアのかけらが浮いていたのだと思いますが、普段からネタ集めをされているんですか?

群青ちきん:

別に「ネタ集めをしよう」みたいな意識はないんですが、色んなものを見てます。Twitterやマンガはもちろん、ニコニコ動画は昔から好きだし、ニュース番組や日経新聞なんかも。

ふわふわイメージの情報ソースが広いと、アイデアの可能性も広がるんじゃないかなと思ってます。

少年B:

日ごろからいろんなものに関心を持っておくのが大切、ということですね。意識していたり、影響を受けていたりするクリエイターさんはいますか?

群青ちきん:

ほぼ日Pさんですね。時事ネタのパロディがおもしろいんですよ。あとは虚構新聞さんにもだいぶ影響受けてると思います。

▲ほぼ日Pさんの代表作「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています

少年B:

なるほど。群青ちきんさんの作品も、確かに時事ネタをいじったものが多いですよね。「遺伝的アルゴリズム~」は何を考えて作ったんですか?

群青ちきん:

あれは本当に思いつきで、パッションだけで作ったやつなんです。予想外に伸びましたね。「むしゃくしゃしてやった、後悔はしていない」って感じです。

少年B:

群青ちきんさんのnoteでも「元々出オチのつもりだった」と書いていましたね。自分が「おもしろい」と思って作った感じですか?

群青ちきん:

そうですね。遺伝的アルゴリズムは以前からニコニコ動画でも話題になってた技術なので、そこから何か作れないかなと……。そうしてるときにふと「エッチな画像だったらおもしろくないか?」って思いついたんですよね。