世界の先進企業が取得する「Bコープ」認証に、日本総研はなぜ挑むのか

優秀な人材が集まる要因になる

――Bコープ認証取得のメリットは、どのようなことが考えられるのでしょうか。

 一般的には、取得企業の信頼は高まります。消費財企業であれば、ブランド価値やイメージが上がります。B2Cでダイレクトカスタマーのビジネスを展開している企業は、メリットが大きいはずです。

 将来的には、カーボンニュートラルと同じような状況が出てくる可能性があると思います。例えば、ある商品を購入しようとする際に、Bコープ企業とそうでない企業の選択となれば、Bコープ企業を選ぶということは多くなるのではないでしょうか。これはB2CでもB2Bでも、そうでしょう。

 Bコープ認証企業のコミュニティとかエコシステムとかができるかもしれない。例えば、ソーシャル・グッドの観点から、そのコミュニティ内の取引であることが、単独のBコープのビジネスよりも社会的に高く評価されるようになることも考えられます。

 当社では若者の意識調査を随時実施していますが、若い人、特にZ世代は、エシカル(倫理的)な経営である企業に勤めたい人が多くなっています。そうした点で、Bコープは、社会的意識の高い若者からの支持が得やすくなるでしょうし、優秀な人材が集まる要因の一つになると思います。

――昨年6月にBコープ認証に挑むことを決めてから12月に申請するまでの6カ月間、貴社はどう変わりましたか。

 認証取得は、会社全体の理解と関与、変革がないと実現できません。「日本総研はBコープ認証取得を目指す」と社内外に発表したことで、会社は大きく変わりました。

 従来、Bコープは主に、前述した創発戦略センターやリサーチ・コンサルティング部門の関心事項でしたが、6月以降は、それまでバラバラだった部門の社員が交流したり、議論したりするという動きが顕著に出てきました。

 最初は、経営層を筆頭に社員全員の意識改革でしたね。一つの会社で一つの事業という形だと割と一気に変われるのかもしれませんが、当社のように全然違う事業を担っている部署が複数ある組織は、実際にやってみると難しいのです。

 ただ、Bコープ認証取得という、全社員が目指す方向についてのメッセージをはっきりと打ち出すことで社内の雰囲気がずいぶん変わったように思います。これは、実際にやってみなければわからなかったことです。

 私自身、これまでは営利を追求する銀行組織に身を置いてきましたが、銀行も社会価値を重視する状況になっていることもあり、今後はそれだけではダメだということを当社を経営する中で改めて考えるようになりました。

 会社全体としてどこまでいけるかわからないというところはまだありますが、当社は先ほどお話した通り、社会の変化を先読みし、実践してきた企業文化があるのと、比較的若い社員が多いので大丈夫だろうとは思っています。

――Bコープについて、社内で勉強会などを実施しているのですか。

 まずは、認証準備に関わっている研究員に対して、先行して勉強会を実施しています。そこでの学びを社内で共有する目的も兼ねて、今年2月から早稲田大学ビジネススクールとの共同講座を設けます。大学教員、当社研究員、国内のBコープ有識者で講師陣を相互派遣します。教材作成から、共同で取り組んでいます。

 受講生は、ビジネススクールの学生と当社社員が半々くらいになる想定です。今年はまだトライアル的な面もありますが、いずれはオープンに、もっと枠を広げていきたいと考えています。(了)

谷崎勝教(たにざき・かつのり)

1957年生まれ。東京大学法学部卒業後、住友銀行(現・三井住友銀行)入行。2015年に三井住友銀行取締役専務。2017年より三井住友フィナンシャルグループCIO執行役専務。2018年より同グループCDIO執行役専務。2019年に株式会社日本総合研究所 代表取締役社長に就任し、2023年4月より専任。