インターネットを活用して資金を集める方法に「クラウドファンディング」があります。
実現させたい目標や夢のために立ち上げたプロジェクトを公開し、賛同してくれた人(支援者)から資金を募る仕組みです。
プロジェクトを公開する「提案者側」とそれに賛同して応援する「支援者側」のどちらにも魅力がある資金調達手段として近年利用者が増えています。
本記事ではクラウドファンディングのやり方・始め方を、提案者側と支援者側それぞれの視点で解説します。
【提案者側】クラウドファンディングで資金調達する手順
クラウドファンディングでは通常、プラットフォームを利用します(CAMPFIRE、READYFOR、Makuakeなど)。
※プラットフォームに関する記事は後日公開予定
フォーマットに合わせて情報を入力し、サイトに掲載できるプラットフォームはいくつかありますが、どのサービスも基本的な起案の流れは同じです。
次のような手順でプロジェクトの掲載〜資金調達を行いましょう。
以下、それぞれ解説します。
目標や計画を立てる
金融機関から融資を受ける際には事業計画を立てますよね。
クラウドファンディングでも同様に、プロジェクトを成功させるためには目標・目的を明確にし、成功までの見通しを立てることが大切です。
まずは「何をやりたいのか」「それは社会にどのように役立つのか」「実行には何にどれだけの費用が必要か」「どのようなスケジュールで実行するか」などの目標や計画を設定します。
目標金額を設定する
次はクラウドファンディングで集めたい目標金額を決めていきますが、「1円でも多く集めたい」と高すぎる金額を設定すると、達成率が下がる可能性があります。
反対に金額が低すぎてもプロジェクトの遂行に支障をきたします。
適切な金額となるように、慎重に決めなければなりません。
プロジェクトの実行に100万円が必要な場合、「100万円+リターン(出資してくれた支援者へのお礼)の原価+手数料」を目標金額に設定するとよいでしょう。
手数料とは、プラットフォームを介して資金調達をする際に集めた金額から差し引かれる費用のことです。
利用するプラットフォームによりますが、決済額の10〜20%程度が手数料の相場です。
なお、クラウドファンディングは「All or Nothing方式」と「All in方式」の2種類に分けられます。
- All or Nothing方式:目標金額未達の場合は支援金を受け取れない
- All in方式:目標金額未達でも集まった支援金を受け取れる(プロジェクトの実行は当然必要)
ターゲットやリターンなど詳細を決める
続いて、ターゲットやリターン、募集期間などの詳細を決めていきます。
クラウドファンディングでは広く浅くの「マス」よりも、深く狭く濃い「ファン」に訴えかけることが大切です。
そして「ファン」を複数展開することで幅広い層から資金を調達できます。
たとえば「ロックバンドの音楽フェスの開催」が目的の場合は、「○○というロックバンドのメンバーのファン」「ロック音楽が好きな人」「フェスでワイワイするのが好きな人」など要素を分解し、ターゲットを定義します。
細かくターゲットを設定することで、それぞれに即したアプローチ方法や媒体を考えやすくなり、リターンやPR戦略を具体的に練ることが可能です。
リターンはクラウドファンディングの成否を分ける肝となる項目。
支援者の心を掴むために、支援金額に幅を持たせて、魅力的なリターンをできるだけ多く準備してください。
人数の多いライトファンには500〜3,000円など比較的少額の「面」の支援を、人数の少ないコアファンには10,000円以上など多額の「点」の支援を、という風な使い分けを行います。
リターンは、支援者が喜ぶもの・コトを選ぶのは当然ながら、必ず発送・実施できるもの、なるべく送料がかからないもの、遠方の方でも支援できるものを選ぶといいでしょう。
オリジナルでなく既製品であっても、販売元に許可を取ればリターンに入れてよい場合があります(プラットフォームによって異なる)。
自分で考えるのが難しい場合は、成功した他のプロジェクトを参考にしてみるといいですよ。
プロジェクトの登録・ページ作成を行う
プロジェクトの内容が決まったら、どのプラットフォームを利用するのかを決め、登録・アカウント作成を行います。
プラットフォームごとに強い分野や手数料などが違うので、自分のプロジェクトに適したサイトを選んでください。
アカウント作成のあとは熱意が伝わるプロジェクトのページを作成します。
※プラットフォームによっては、担当者との面談・事前審査が必要な場合もあります。
タイトルやカテゴリー、目標金額や期間などを設定したら、次のような内容を記載していきましょう。
- プロジェクトの目的や内容、流れ
- プロジェクトを実現したいと思った経緯・動機
- 支援金の使用用途
- リターンの内容
- プロジェクトの主催者について
プロジェクトの内容を記載する際、自分の原体験や感じたことを書くと、共感してもらいやすくなります。
ストーリーを立てて具体的に訴えるほど信頼性がアップし、支援者が集まるでしょう。
また、文章だけよりも写真や動画の使用が効果的です。
特にキービジュアル(サムネイル画像)やメイン動画はプロジェクトの顔になる要素。
支援者の興味を引けるように、時間がかかっても丁寧に作成することをおすすめします。
プロジェクトの審査を受ける
プロジェクトページを公開するには、プラットフォームの審査を受ける必要があります。
<審査内容の例>
- プロジェクトは実現可能か
- 虚偽はないか
- 規約に反していないか
- 社会的に問題がないか
- 犯罪を助長していないか など
審査基準はプラットフォームによって異なるため、審査に落ちたとしても、違うサイトで申し込めば通過する場合もあります。
審査を合格すると、サイトにアップされ、プロジェクトスタートです。
開始〜活動報告を行う
審査が通りプロジェクトが開始したら、こまめに活動報告を行うことが大切。
途中経過を発信すると、プロジェクトが盛り上がっているように見え、また賛同している人同士の連帯感が生まれます。
プロジェクトのページやSNSなどで毎日〜2日に1回は経過報告を行ってください。
<活動報告の例>
- 支援金額が○○円に到達しました
- あと○○円で目標達成です
- 現在○○人に応援していただいています
- 期間終了まであと○○日
- メディア(新聞、ブログ、SNSなど)で紹介されました など
プロジェクトをPR・拡散する
プロジェクトページの公開後は、ただ支援が集まるのを待つだけではNG。
プロジェクトを広めるためにSNSで発信・拡散したり、プレスリリース(報道発表する方法)を作成したりするなどあらゆるPRを行う必要があります。
できればプロジェクトの公開前からクラウドファンディング開始の告知をしておくのがベスト。
TwitterやFacebookに投稿するほか、LINEやMessengerで家族や友人・知人に直接メッセージを送る方法も効果的です。
早い段階で支援者を集めてよいスタートダッシュを切ることで、知らない人にもプロジェクトを知ってもらえるでしょう。
SNSへの投稿は繰り返し行うと◎
投稿を見ているうちに「なんだか頑張ってるから応援しよう」と支援してくれることも珍しくありません。
また、オンライン上でのPRだけでなく、人に会ったときに渡せるチラシやカードを作っておくといった地道なPR活動もおすすめです。
期間終了まで残り1週間を切ったら、動画配信やライブ配信を利用してカウントダウンをするのも一体感が出て良いかもしれませんね。
終了〜支援者へのお礼とリターンの発送を行う
プロジェクト終了後、目標金額を達成していた場合は、集まった支援金額からプラットフォームの手数料を差し引いた金額が事前に登録した口座へ入金されます。
目標金額に到達しなかった場合、「All or Nothing方式」であれば支援額は支援者に返金され、「All in方式」であれば入金される仕組みです。
目標金額の達成/未達成にかかわらず、プロジェクトページやSNSには報告およびお礼のメッセージを必ず掲載してください。
支援者ひとりひとりに手紙やメールを送ったり、許可を得られた支援者の名前を掲載したりする方法もあります。
また、プロジェクトが実行される場合は忘れずにリターンの発送を行いましょう。
プロジェクトの進捗を報告する
資金が集まりプロジェクトを進めることになったら、随時支援者にプロジェクトの進捗報告を行います。
支援のおかげで目的を達成できたことを忘れず、活動を応援してくれている支援者の方々にマメに報告や感謝を伝えるようにしましょう。
<進捗報告の例>
- ○月○日にお店をオープンします
- 新商品を無事リリースできました
- 報告会を開催します
- こんな様子でプロジェクトを進めています など
(広告の後にも続きます)
【支援者側】クラウドファンディングで支援する手順
続いて、支援側のクラウドファンディングのやり方を説明します。
利用するプラットフォームによって支援の方法が異なる場合もありますが、一般的には次の手順で支援を行います。
- 支援するプロジェクトとリターンを選択する
- 自分の情報を登録し決済を行う
- 進捗状況を確認・拡散する
支援するプロジェクトとリターンを選択する
募集中のプロジェクトの中から応援したいものを選択し、リターンを複数用意しているプロジェクトの場合は希望するリターンを選びます。
なお、そのプロジェクトが掲載されているプラットフォームでアカウントを作成する必要があります。
自分の情報を登録し決済を行う
選択したリターンを受けるための住所や氏名、メールアドレスなどの情報を登録します。
その後、支援金の支払い方法をクレジットカードや銀行振り込み、コンビニ払い、キャリア決済などから選び、決済を行ってください。
進捗状況を確認・拡散する
支援をする際、お金を支払って終わりではなく、プロジェクトの進捗を見守ったり、SNSでより多くの人に拡散したりするとよいでしょう。
参加してる感が味わえて、より盛り上がることができますよ。
プロジェクトの進捗状況は通常、プロジェクトページや主催者のSNSなどから確認可能です。