大谷翔平選手の移籍契約金、「企業買収」と考えれば今年何位?

メジャー史上最高額の契約金額で移籍する大谷翔平選手(Photo By Reuters)

米大リーグのロサンゼルス・エンゼルスからフリーエージェント(FA)となっていた大谷翔平選手が、10年で総額7億ドル(約1015億円)というメジャー史上最高額でロサンゼルス・ドジャースへ移籍することになった。移籍は「プロスポーツ選手のM&A」とも言える。大谷選手の移籍をM&A(企業の合併・買収)と捉えれば、国内で今年何位のディール(取引)となるのだろうか?

大谷選手の移籍は、今年の国内M&Aで14位に相当

2023年12月11日時点の国内上場企業でのM&Aは公表されているだけで971件。リーマンショック(2008年)後の最多を大幅に更新した昨年の949件をすでに上回っている。5000億円超の大型案件も多く、今年は4件と昨年(2件)の2倍だ。

大型M&Aが目白押しとなった今年のM&Aでも、大谷選手の移籍金1015億円は第14位にランクインする。971件中の14位は、企業ではなく「1人の人間」に対するディールとしては破格中の破格と言える。

富士フイルムホールディングス<4901>が米Entegrisから取得した半導体用プロセスケミカル事業(約945億円)や、ゼンショーホールディングス<7550>が子会社化した北米・英国で持ち帰りすし店を展開するスノーフォックス・トップコ(約874億円)よりも高額だ。

身近な業種では、DCMホールディングス<3050>がTOBで子会社化した同業でホームセンター中堅のケーヨー<8168>(523億円)の2倍近い金額となる。メジャーの実況中継ではないが、「オータニサン、スゴイデスネー!」としか言いようがない契約額だ。

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2023年国内M&A金額ランキング(12月11日現在)

順位

M&A案件名

取引総額

1 日本産業パートナーズ陣営が東芝<6502>をTOB(株式公開買い付け)で買収 約2兆円
2 JSR<4185>が産業革新投資機構によるTOBで株式を非公開化 9039億円
3 アステラス製薬<4503>が眼科領域の米バイオ医薬品企業アイベリックを8000億円で買収 約8040億円
4 大正製薬ホールディングス<4581>がMBO(経営陣による買収)で株式を非公開化 7077億円
5 アウトソーシング<2427>が米ベインキャピタルと組んでMBOで株式を非公開化 2211億円
6 ベネッセホールディングス<9783>がスウェーデン投資ファンドのEQTと組んでMBOで株式を非公開化 2079億円
7 キリンホールディングス<2503>がオーストラリア健康食品最大手のブラックモアズを子会社化 約1692億円
8 セブン&アイ・ホールディングス<3382>がオーストラリアで「セブンイレブン」展開のコンビニエンス・グループを買収 約1672億円
9 第一生命ホールディングス<8750>がベネフィット・ワン<2412>への対抗TOBを発表 約1400億円
9 エムスリー<2413>がパソナグループ<2168>傘下で福利厚生サービス提供のベネフィット・ワンをTOBで子会社化 1396億円
11 NIPPON EXPRESSホールディングス<9147>がオーストリア物流大手のカーゴ・パートナーを子会社化 約1267億円
12 ENEOSホールディングス<5020>がチリに保有する「カセロネス銅鉱山」運営子会社の株式51%をカナダLundinに譲渡 約1246億円
13 セガサミーホールディングス<6460>がフィンランドのモバイルゲーム会社「ロビオ」を子会社化 1049億円
大谷翔平選手がロサンゼルス・エンゼルスからロサンゼルス・ドジャースへ移籍 約1015億円
14 富士フイルムホールディングス<4901>が米Entegrisから半導体用プロセスケミカル事業を取得 約945億円
15 ゼンショーホールディングス<7550>が北米・英国で持ち帰りすし店を展開するスノーフォックス・トップコを子会社化 約874億円
16 オムロン<6645>が医療データサービスのJMDC<4483>をTOBで子会社化 855億円

*ベネフィット・ワンへのTOBは2社が名乗りを挙げているため両案件とも9位とした