仁義なきスマホ“ホーム画面の陣取り合戦” 楽天アプリは40種以上…企業とユーザーが落ちた「アプリがあれば安心」の落とし穴

なんでもかんでもアプリにしすぎ…? ブラウザでじゅうぶん済んで頻繁にログインしなそうなサービスまでアプリ化され、“ホーム画面の陣取り合戦”だと話題になっている。なぜ、猫も杓子もアプリ化されるのかを、ハイテク産業でコンサルティングをしていたクロネコキューブ代表取締役・岡田充弘氏に聞いた。

アプリはなぜこんなにも増殖した?


みなさんのスマートフォンにも、飲食店やスーパーマーケット、美容院やチケットサービスのものなど、ふだんはたいして使用しないアプリがいくつも入っているのではないだろうか。

よく使うアプリはホーム画面の1ページ目に置いておきたいため、1ページ目は陣取り合戦が勃発する。ただ、インストール済のアプリが増えすぎたあまり、横にスライドさせた2ページ目、3ページ目あたりに置いてあるアプリは、すべてを把握していない人のほうが多そうだ。





「アプリ市場白書 2022」(フラー調べ)によると、1ユーザーあたりの月間平均利用アプリ数は41個にも上るのだというが、クロネコキューブの岡田充弘氏は、さまざまなサービスがアプリ化され増え続けている理由について、企業側もユーザー側も“アプリがあれば大丈夫”という安心感が大きいのだと語る。

「スマホはいまや顧客の一番近くにあり、顧客の財布に粘着気味に寄り添う存在です。そのため、ユーザーが即座に気持ちよく利用できるよう、アプリ化の動きやデバイスの最適化が進んでいると感じています。

実際、アプリのほうがブラウザよりも処理速度が早く、さっと手に取って感覚的に使用しやすいというユーザー側のメリットはあるでしょう。

また、アプリ化が進む根底には、企業側がアプリ化すればなんとなく事業がうまくいくのではないかという期待を抱き、ユーザー側もアプリがあれば大丈夫という気持ちがあり、双方がアプリに対する漠然とした安心感を抱いているというのも大きいのではないでしょうか」(岡田氏、以下同)


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「ほかのアプリのパスワードを記録するためのアプリ」いれてませんか?


岡田氏によると「ほかにも、アプリに誘導するシステムの一つとして、インストール時にパスワードをいちいち入力せずともアプリ自体が記憶してくれたり、Face IDで認証が簡単にできてしまったりという利便性も、アプリ化が進む要因」とのことだ。

しかし、最近ではセキュリティの問題でワンタイムパスワードを要するなど、ユーザー側のアクションが必要な2段階認証式のアプリも増えている。





即座に利用できる快適さを求めてアプリをインストールしたはずなのに、認証は2段階必要になっているというねじれた構造があるといえよう。

「今や“ほかのアプリのパスワードを記録するためのアプリ”や、“パスワードを自動生成してくれるアプリ”なんてものも出てきている時代です。

そういった意味があるのかないのかわからないようなアプリまでインストールしてしまったり、あまり使わなそうなアプリでも、いらなくなったらあとで削除すればいいかととりあえず一旦インストールしてしまったりすることもあるでしょう。

その積み重ねで、後から見返すと、「なぜこんなものまでインストールしたんだ?」と思うくらい、ろくに使わないアプリでホーム画面の2ページ目、3ページ目まであふれ返ってしまうという状態になってしまうのではないでしょうか」