アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は2024年4月28日(日本時間・以下同様)、EU(欧州連合)の測位システム「Galileo(ガリレオ)」の測位衛星2機を搭載した「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットの打ち上げに成功しました。ファルコン9の1段目機体は今回で20回目の使用でしたが、衛星を中軌道に投入する能力を確保するため、地上への帰還は実施されず、今回が最後の飛行となりました。【最終更新:2024年5月7日17時台】


【▲ ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられるファルコン9(Credit: SpaceX)】

■ファルコン9の1段目機体は20回目の飛行

ガリレオ衛星2機を搭載したファルコン9は、2024年4月28日にアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられました。ファルコン9の1段目機体は今回が20回目の使用でしたが、衛星を地球中軌道(Medium Earth Orbit: MEO)まで運ぶ燃料と能力を確保するため、機体の再帰還と着陸は実施されませんでした。また、通常であればファルコン9の1段目機体には着陸時に機体を支える「着陸脚」や、地球帰還時の姿勢制御に使用される「グリッドフィン」といった帰還に欠かせない装置が装着されていますが、帰還を実施しない今回はこれらの装置を取り外した状態で打ち上げられました。


【▲ 射点で打ち上げを待つファルコン9。この機体では通常、第1段機体下部に装着されている着陸脚がない。(Credit: SpaceX)】

今回使用されたファルコン9の1段目機体(シリアルナンバーB1060)は、2020年7月に実施されたGPS衛星「GPS III SV03」の打ち上げで初飛行して以来、2021年1月に実施されたトルコの通信衛星「Turksat 5A」打ち上げ、2021年7月に実施されたライドシェアミッション「Transporter-2」打ち上げ、2022年10月に実施された通信衛星「Galaxy 33&34」打ち上げ、2023年1月に実施されたライドシェアミッション「Transpoter-6」打ち上げ、2024年2月に実施された月着陸船「Nova-C」打ち上げ、そして合計13回の「Starlink(スターリンク)」打ち上げで使用されました。

ガリレオ衛星の運用を行うEUSPA(欧州連合宇宙計画局)によると、2機のガリレオ衛星は打ち上げと軌道投入、衛星の動作確認を行う「Launch and Early Orbit Phase(打ち上げ初期軌道フェーズ)」にあるということです。衛星は数日間の試験運用に続き、所定の静止軌道まで4週間かけて移動する予定です。

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■「ガリレオ」とは


【▲ 打ち上げられた2機のガリレオ衛星の想像図(Credit: ESPA)】

ガリレオはEUのGNSS(衛星測位システム)です。GNSSはアメリカの「GPS」をはじめ、中国の「北斗(Beido)」、ロシアの「GLONASS(グロナス)」、日本の「QZSS(準天頂衛星システム)」、インドの「NavIC」が知られています。ガリレオはEUが資金を提供し、ESA(欧州宇宙機関)が衛星の設計や開発などを行っており、前述のEUSPAはガリレオのサービスを提供する役割を担っています。

ガリレオ衛星は2005年12月28日と2008年4月27日に試験機が打ち上げられたのに続いて、2011年10月21日に初めて運用機が打ち上げられました。ガリレオの初期サービスは2016年12月15日に開始されています。EUSPAのEuropean GNSS Service Centre(ヨーロッパGNSSサービスセンター)によると、現在軌道上にあるガリレオ衛星は合計30機で、そのうち23機が運用中です。

ESAによると、今回の打ち上げミッションはガリレオの新たなPublic Regulated Service(PRS、公共規制サービス)信号の送信が開始されてから数日後に実施されました。PRSは政府機関や機密性の高いアプリケーション用に設計されているということです。