アイロボットも導入!「指定価格制度」の浸透と家電業界・消費者への影響は?

 【家電コンサルのお得な話・183】アイロボットの日本法人が4月17日、指定価格制度の導入を発表した。指定価格制度とは、メーカーが販売店に販売価格を指定する代わりに、売れ残った製品の返品に応じるという制度である。すでに、パナソニックや日立が特定カテゴリで導入しており、今後も対象カテゴリを拡大していく予定である。指定価格制度が家電業界や消費者に及ぼす影響について考えてみたい。

●大量仕入れによる「安売り」のビジネスモデルが崩壊



 基本的に家電製品の価格は、時間の経過や競合メーカーとの兼ね合いで下落していく。特に家電量販企業ではバイヤーとの商談が厳しく、補填(リベート)やNET入れ(仕切値)の要求に対する出費はメーカーが管理できない項目で、メーカーの収益を圧迫している。

 アイロボットも、中国メーカーを含む各社のロボット掃除機市場への参入による価格競争の激化が、指定価格制度を導入する理由である。今後も、指定価格制度を導入していくメーカーは増加すると考えられる。だが、仮に指定価格が一般的になればどうだろう。筆者の個人的な見解ではあるが考えてみたい。

 「どこで購入しても同じ価格」となれば、家電量販企業の大量仕入れによる安売りのビジネスモデルが崩壊する。そのため、サービスメニュー等の差別化などが必要になるが、一番の取り組みは「接客力」の向上になるだろう。

(広告の後にも続きます)

●消費者自身も気づいていないニーズを見つける力が必要



 これまでの定番ランク・定番順位に基づく「売るべき商品ありき」の接客とは違った、顧客視点の接客が求められる。安売りで消費者を動かすのは「驚嘆」という感情だったが、これからは消費者自身も気付いていないニーズを発見する力を養っていく必要がある。

 一方、地域電器店には、これまでのような高齢者層に加え、新しい客層をつかむチャンスが生まれる。特に、家の築年数から「水回りなど、家の細かい困り事」が生じやすい反面、どこに相談すればいいのかわからない50代の消費者を確保できれば、客層の若返りを図ることもできる。

 そのためには、自店の存在と企業の信頼性、そして指定価格についての認知度を向上させる取り組みに力を入れていかなければならない。

 消費者からすれば、店員との価格交渉の上手い、下手による購入価格の不公平感が解消される。また、販売店都合によるオススメではなく、自分の生活にあった商品を選択しやすくなる。

 メーカー、販売店ともに、これまでのように価格の安さで売るのではなく、消費者に向き合い、理解を深めた企業が選択されるという、これまでとは違った厳しさに晒されるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。