真水だけで現像…旭化成が水現像印刷版、市場開拓へ事業化模索

旭化成はパッケージ印刷などに使うフレキソ印刷版について、真水だけで現像する水現像フレキソ樹脂版を開発した。現像に使った水の9割をリサイクルできる技術も確立しており、この技術も含めてシステムとして提案する考え。印刷版の現像時に有機溶剤を使わないため、環境負荷の低減につながる。フレキソ印刷は市場の拡大が予想され、東レも水道水のみによる水現像フレキソ印刷版の提案を始めた。旭化成も市場の開拓に向け、事業化を模索する。

旭化成の水現像フレキソ樹脂版「AWP」の特徴は、水性インクの耐性を持たせつつ水現像ができる点にある。また印刷時の濃度感も出せるようにして精細な印刷に貢献する。水だけで現像できるAWPのほか、現像時に使った水の9割をリサイクルできる廃液処理装置も用意する。

同社は溶剤を使って現像するフレキソ印刷版「AFP」も展開しており、この知見を採用した。また同社が培ってきた感光性樹脂のノウハウや、中空糸膜「マイクローザ」の技術も用いた。今後、AWPの新製品は5月下旬に開催するドイツの展示会で披露する計画。顧客の評価を踏まえてビジネス展開を検討する。

一方、東レは完全水現像の印刷版「レゾルシア」の販売を始めた。長年手がけた樹脂凸版「トレリーフ」の知見などを生かした。色彩の精細さに加え、従来の溶剤の現像と比べて製版作業環境を改善できる。製版時間の大幅な短縮を実現し生産性も向上するという。トレリーフと製版機を共有できるため、円滑な移行と投資コストの抑制を図れる。

調査会社の印モルドールインテリジェンスによると、2024年のフレキソ印刷の世界市場は1962億ドル(約31兆円)と推定。29年には2289億ドル(約36兆円)に膨らむと予測する。溶剤インキを使うグラビア印刷と比べ、水性インキが使える環境性能や、生産時の負担軽減といった点で需要が拡大する見通しだ。

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