仕事量が多くなる原因

まずは、仕事量が多くなる原因について解説します。1日の仕事時間は、多くの企業で9時から18時までの途中1時間の休憩を挿んでの8時間労働です。その中で仕事量が多いことは残業や休日出勤などにつながるため、労働者にとって好ましい状況とは言えません。ただ、仕事量が多いことには原因が存在します。まずは自分や職場の状況を見渡して、なぜ仕事量が多いのかを確認しましょう。

その1 本人の技量や能力に業務が見合っていない

1つ目の原因として、仕事量と労働者のキャパシティの問題が挙げられます。例えば、新人とベテランを比べると同じ仕事量であっても、ベテランの方が早く終わります。新人社員に多い原因と言えますが、やはり誰しも仕事に慣れるまでは時間が必要です。他にも、過剰に仕事を受けてしまい、結局立ち行かなくなってしまったという失敗は誰しもがあるのではないでしょうか。仕事に対して「できる」ことには、それぞれ限界があります。自分の許容量を超えた仕事は、業務の効率も悪くなり仕事の品質も下がるため、注意が必要です。

その2 業務の属人化

2つ目は、業務の属人化です。ここでいう属人化とは、ある業務の進め方や進捗などを特定の担当者しか把握していない状況を意味します。特に、経理やシステムエンジニアなどの専門性の高い資格やスキルを要する仕事は、属人化しやすい仕事の筆頭です。担当者以外に仕事を任せられる人がいないため、どうしても基本的な業務から臨時のトラブル対応までの多くの仕事が一人に集中してしまいます。ほかにも、周囲が新人ばかりの状況も属人化しやすい環境と言えます。

その3 人手が不足している

3つ目は、非常に単純明快な原因です。単純に100の仕事量に対して100の人がいれば、1人当たりの仕事量は1で済みます。しかし、人手が不足している職場では、日々の雑事から大きなプロジェクトまでを1人で処理しなければならないため、必然的に仕事量が多くなります。また、人手不足の状態が続くと休日出勤や残業が多くなり、体を壊したり退職する人も増えていくでしょう。そして、残された人の仕事量が増えるという悪循環が続いていきます。

その4 上司の仕事の振り分けが不適切

4つ目は、上司に問題がある場合です。人員が十分であっても、1人に仕事が集中してしまうことは往々にして発生します。これは上司のマネジメントに原因があります。上司が部下のスキルや特性、現状などを把握していないと、誰にどの仕事をどれくらい割り振りば適切なのか見当が付けられず、スキルや状況に見合わない不適切な仕事を指示される可能性があります。特に、ベテランの場合、上司からすると「何でも任せられる」存在のため、割り振られる仕事が多くなるでしょう。

その5 業務内容が効率化されていない

5つ目は、仕事そのものが効率化されていないことです。特に事務仕事は毎日何かしらすべきことがあるため、業務の効率化は必要不可欠です。しかし、企業ごとのよく分からない「謎ルール」や「伝統や慣習」によって、本来であれば不要な業務フローが存在していることは往々にあります。また、他にも営業部と経理部で別々の管理ツールを導入したため互いに連携が取れず、結果、営業データを経理に渡すための資料作成や、経理側にも無駄な入力作業が発生することもあります。

仕事量が多いと感じたときの5つの対処法

仕事量が多くなる原因は、本人や会社の体質など多くの箇所に求められます。しかし、仕事量は工夫次第で十分に調整が可能です。ここからは、仕事量が多いと感じたときの対処法を原因別に解説します。仕事量の多さは体調を崩すだけではなく、仕事の品質も下げてしまうため、早めの対応が必要です。

その1 自分自身のスキルアップは必要不可欠

仕事量が多い原因は、自分自身にもあります。単純に仕事を遂行できるだけのスキルや知識を身に付けることは勿論ですが、スケジュール管理などの自己マネジメント能力も重要な要素です。仕事別に優先順位を付け、ゴールから逆算して計画的に動くだけでも、仕事の処理能力は格段に異なります。ある程度の大量の仕事を処理できるようにならなければ、いつまでもキャパシティは増えません。自己成長を促すためにも少々の無理は覚悟しましょう。

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その2 上司への相談で解決することも多い

多くの仕事を任されることは、上司からの期待や信頼の表れとも言えます。多くの人は信頼や期待に応えるべく奮起するでしょう。しかし、人の能力や仕事時間には限界があり、それを超えてまで働くことは上司も望んではいません。上司にとっては部下の健康管理も重要な仕事の一環です。昨今、多くの会社は健康経営に力を入れ、従業員に長く働いてもらうためにも、体や心の健康に気を付けています。抱えている仕事量が膨大で自分の力量では解決できないと思ったときは、素直に白旗を挙げるべきです。上司と相談し適切な仕事量に調整してもらいましょう。また、人手不足の問題は一従業員で解決できることではありません。部内全体、ひいては会社全体の問題としてとらえてもらうためにも、負担が大きいと感じたら上司に相談しましょう。

その3 任せられる仕事はほかの人に任せてしまう

周囲が新人や不慣れな後輩ばかりだと、どうしても自分で仕事を引き受けてしまいがちです。ただ、この状況では部下はいつまでも成長せず、仕事が集中する状況は改善しません。部下の育成は非常に手間のかかる仕事ですが、自分以外に「仕事ができる」人が1人増えるだけでも、かかる負担は大きく減らせます。また、ベテラン社員の場合は、仕事におけるノウハウの共有につながるため、部内全体の業務内容を平均的に引き上げる効果も期待できます。

その4 ICTの導入で効率化する

仕事量を減らすにはICTの導入も有効です。例えば、会議資料をペーパーレスにするだけでも、印刷や配布準備、会議後の資料の処分などの仕事を減らせます。ほかにも、スケジュール管理ツールや計算ソフトなど、人手に頼っていた部分の多くをICTに置き換えることで、より効率的な仕事が可能です。また、ICTに頼らなくてもマニュアル化やテンプレート化なども仕事の効率化には欠かせません。仕事量そのものを減らすことは難しいため、自分や部内、会社全体の仕事の進め方を見直し、無駄と思われる部分は可能な限り削りましょう。仕事を効率化することは、会社のコストを減らす上でも重要です。

その5 最後の手段は転職

人ができる仕事量には限界があるため「とにかく頑張る」という根性論では、遠からず破綻します。破綻した先には体を崩しての休職、最悪の場合は過労死が待っています。どれだけ調整しても仕事量の改善が見られない場合には、転職も選択肢の1つです。特に、「人手不足」や「上司のマネジメント能力」は会社側の問題のため、一従業員では解決できません。転職は気軽にできることではありませんが、過労死する前に従業員の心身の健康を考えてくれる健康経営に力を入れた会社への転職へ動きましょう。

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働くことは生活の糧を得る上で欠かせません。しかし、働きすぎは労働者の体を壊すだけではなく、貴重な時間を奪い生活の質を下げる要因になります。過労死が問題視されている昨今、多くの企業は厳格に法律に則って労働時間を守り活動していますが、それでも仕事量の多さから、体調を崩してしまう人は後を経ちません。この記事では、働いているときに、仕事量が多いと感じたときの対処をお伝えします。自分の身や生活、そして家族を大切にするためにも、キャパオーバーになる前に対処しましょう。

生活の質は仕事の質に影響する

近年、企業が従業員の健康管理に注意する理由として「Quality Of Life」という指標があります。生活の質、人生の質を豊かにすることは、従業員の心と体の健康につながり、それだけ長く勤めてくれるようになります。また、仕事もプライベートも充実した意気軒高な状態で仕事ができれば、その分だけ仕事の質も上がります。仕事量が多いことで悩んでいるのであれば、自分の生活の質を上げるためにも一度上司に相談してみましょう。