「全固体電池」実用化へ…日産が進める革新的な技術開発の現在地

日産自動車が次世代電池として注目される全固体電池の実用化を着々と進めている。全固体電池のパイロット生産ラインを2024年度中に横浜工場(横浜市神奈川区)に導入。品質検証を推進し、28年度に全固体電池を搭載した新型電気自動車(EV)を市場投入する計画だ。革新的な技術開発に取り組みEVの競争力を高める。(編集委員・村上毅)

全個体電池開発のロードマップ

16日に報道陣に公開した建設中のパイロット生産ラインは「電極」「セル」「モジュール/パック」「化成」の各工程で構成。広さは縦135×横75メートル、面積は約1万平方メートル。年産能力は2000台分に相当する最大100メガワット弱(メガは100万)。投資額は非公表だが、200人規模が同ラインで研究開発に当たる。

日産の創業の地で、現在はエンジンやモーターなど重要部品を製造する横浜工場の既存工場を改修し、建設中だ。クリーンルームや付帯装置の工事を進め、8月以降に生産設備の導入を開始、25年3月の稼働を予定する。

同ラインで製品・生産技術の開発を推進、26年度から試作車による公道テストを開始する。生産能力・生産性を向上し、28年度から長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」で掲げる全固体電池を搭載した新型EVの市場投入を目指す。

全固体電池は従来比で約2倍の高いエネルギー密度や優れた充放電性能による大幅な充電時間の短縮、安価な材料の組み合わせによるコスト低減など「EV普及を加速させるゲームチェンジャー」(生浪島俊一常務執行役員)として期待される。

一方で課題の解決も進む。全固体電池は原料となる活物質と固体電解質を均一に分散して電極を形成し、均等に加圧してセルに組み立てる。繰り返し均一なリチウムを析出するには電極材料の均一性を確保する必要がある。材料投入の順序や革新的な混ぜ方を採用して、混ざり具合を改善した。

また、粉体では力が局所的にかかるため、粒子の破損や材料間に隙間が発生してしまう。力を均等化したプレス工法や材料改善で粒子の流動を改善し電極材料を均等に加圧する「均圧化」が可能となった。

均一分散・均圧化により、車載レベルでラボレベルと同等のエネルギー密度を達成し、良品率も100%となった。坂本秀行副社長は「革新的な生産技術の開発と量産適用で電動車の競争力を飛躍的に向上させる」と力を込める。

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