リバランスの方法。確定拠出年金加入者は知らないとソン!<後編>

前回はリバランスをした方が良いよ!という紹介と、具体的なリバランス方法を紹介いたしました。前回の記事をお読みいただくとご理解いただけると思うのですが、リバランスは結構面倒なものなんです。

よく確定拠出年金の継続研修や書籍・投資セミナーでも、1年に1度リバランスをしましょう。と言われています。確かに正しいのですが、実はそこまでしなくても良いと、バンガード社のレポートを見て改めて思っています。

リバランスのタイミングは、そんなに頻繁でなく1年に1度で良い!

 

出所:Best practices for portfolio rebalancing – Vanguard research, November 2015

これは、バンガード社がシミュレーションを行った1926年から2014年までの期間で、リバランスをMonthly(毎月)、Quarterly(四半期:3カ月)、Annually(1年ごと)、Never(リバランスなし)で、した場合です。

実は、リターンだけ見ると、リバランスをしない方が平均リターンは8.9%と一番良かった結果になっています。しかし、リバランスはリスクを抑える効果があります。

定期的にリバランスした方がリスクを3%ほど抑えられ、やはり効果があることがうかがえます。リスクを取った結果、どれだけリターンを得られたかを示す、シャープレシオ(数字が高いほうが効率的と評価される)を見ると、

リバランスなし: 8.9% ÷ 13.2% = 0.76
1年リバランス: 8.1% ÷ 9.9%  = 0.82

と、リバランスした方がリスクに対してリターンの効率がよい=良い運用ができていると言えます。

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定期的より“心配・不安な時にリバランス”がいいのでは?

ある程度、定期的にリバランスをした方が良いということはデータに示されています。しかしながら、「リバランスは1年1度!」と決めたとしても、相場は変動するので実は不安は結構続くんです。仮にですが、リバランスを4月にして5月から相場の暴落が続いたらどうでしょうか。残り11カ月間不安が続きそうな気がしませんか?

そこでもう一つ、リバランスのタイミングを決める考え方があります。資産配分の乖離率を基準にリバランスをする方法です。

これもバンガード社の先ほどのレポートで検証しています。

 

出所:Best practices for portfolio rebalancing – Vanguard research, November 2015

上記は、1980~2014年のデータでの検証になりますが、決めた資産配分から、1%、5%、10%ずれた場合、そしてリバランスをしなかった場合になります。こちらも一定期間ごとにリバランスするのと同様に、リスクが抑えられています。しかもリターンについては、同じ水準を維持していますので、まさしくリバランスすることで、リスクを抑えながらリターンも向上(維持)できた良い結果が出ています。

この数字を見ると、1%、5%、10%と、どの乖離率でリバランスしても良い結果となっていますので、資産の配分を4資産分散や6資産分散など複数にされている方は、5%程度乖離が生じた場合にリバランスをされると良いように感じます。
それより少ない、2資産や3資産での分散の場合は、10%程度の乖離で行っても良いのかもしれません。