なぜ日本で拡大していない? スマートホーム導入のハードルや不安について

 【スマートホーム入門ガイド・2】 前回は、「スマートホーム」の国内普及率が4%であることを紹介した。諸説あるが、スマートホームという概念が初めて提唱されたのは1930年代の米国といわれている。「未来の家は、ドアが自動で開いたり照明がニーズに応じて変化するなど、ネットワーク化されている」と専門誌で提唱され、それから数十年経過し、米国ではすでに40%近い住宅がスマートホーム化されている。そんな米国と比較すると、日本でも最近ちらほらスマートホームを目にするようにはなったが、一般化されるのはまだまだこれからというのが現状だ。今回は、そんなスマートホーム普及のハードルとなっている要因を解説したい。

●スマートホーム導入、最初に立ちはだかる壁は?



 スマートホームアプリを開発するアクセルラボでは、今年4月に「スマートホームに関する実態調査」を行い、一般消費者618人から回答を得た。

 調査の中で、スマートホームの導入検討者にハードルになっている要素を聞いたところ、初期費用や維持費用などの費用面を除くと「故障やトラブルがあった場合の対応」「初期設定が難しそう」という回答が上位に挙げられた。スマートホーム導入にはインターネットへの接続が必須だが、家のインターネット環境や設定の影響でうまく接続できず、実際、一つの機器設定に多くの労力がかかってしまうこともあるので、1度でも何かしらネットワーク設定に躓いた経験がある人は難しそうという印象を持つのだろう。

 また、スマートホーム機器購入時の選定も、一般のユーザーからすると分かりづらい部分がまだまだ多い。スマートスピーカーだけで3メーカーあり、その他の機器、例えばカメラやセンサー類にも多くのメーカーが存在し、操作アプリもその分存在する。まとめると、どの機器を購入すれば良いのかの判断が難しく、さらに実際に利用するまでの各種設定が難しそうという点で、ユーザーが面倒に感じて結局導入を見送ってしまうというのが実情である。

 すでにスマートホームを導入している人に聞いた質問でも、12.43%のユーザーが「初期設定の簡単さ」に対して不満があるという結果となった。「操作のしやすさ」への不満が6.45%、「節電効果」への不満が7.03%という結果と比べると、スマートホームのセットアップに課題があるということが分かる。

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●故障やトラブル時、どう解決する?安心のヒント



 自身でスマートホーム機器を購入して設置した場合、故障やトラブルの際にカスタマーサポートに連絡して対応してもらうことになるが、最近市場に増えている海外製品はサポートが不十分な場合も多い。また、メールのみしか対応しておらず、電話がつながらないケースも見受けられる。

 初期設定の難しさや、故障時のサポートなどの不安要素を拭いたい人は、スマートホームがもともと設置されている物件をサイトで探して入居することをおすすめする。戸建の場合は、スマートホーム機器の取り扱いのあるハウスメーカーや工務店に手配を依頼するのが良いだろう。住宅設備としてビルトインされているスマートホームは、故障時のサポートが充実しているケースが多い。また、最近では一般のユーザー向けにスマートホームの設置アドバイスを行うガジェット系インフルエンサーなども登場してきている。「餅は餅屋」の言葉通り、より詳しい人間に依頼することが確実だ。

 個人的には、スマートホームを本格的に普及させるにはマンションデベロッパーなどの不動産事業者側が、セットアップされた状態でスマートホームを提供するパターンが最適であると考えている。入居したらすぐに使える状態になっており、かつ故障があった場合でもサポートがしっかりしていることは、これまで使用を避けていたユーザーにとってもメリットが多い。