「得体の知れない液体が…」モンスター借主の退去後、部屋を見た大家が絶句したワケ

私はいわゆる“サラリーマン大家さん”として、親から相続した築40年超のアパートを経営していました。築古物件ですから家賃は相場よりかなり安めに設定してあり、おかげで学生や若いサラリーマンなど借主が絶えることはありませんでした。

固定資産税などの経費を除くと手元に残るのは小遣い銭程度ですが、建て替えが必要になるまでは大家業を続けていこうと考えていました。

一生忘れられないモンスター借主とのトラブル

そんな私のささやかな計画を滅茶苦茶にしたのが、とんでもないモンスター借主です。竹中裕二。その名前は一生忘れることがないと思います。

コロナ禍には区が紹介する単身の生活保護受給者を受け入れていました。ごく普通の真面目な元サラリーマンばかりで安心していたのですが、その中にあの竹中さんがいたのです。

竹中さんは自称元教師。仕事に忙殺されて精神的に不安定になり、退職して生活に困るようになったという話でした。ハキハキした明るい感じの人で、入居した頃は「塾講師の仕事がしたい」と話していました。

ところが入居して半年くらいたった頃から家賃を滞納するようになり、管理を委託している不動産会社に注意してもらったら、いきなりわが家まで押しかけてきたのです。ちょうど私が不在の時で、応対した妻は心底怖かったとおびえていました。

それでもケースワーカーの石井さんが間に入ることでたまっていた家賃も無事に支払われ、その後はうまくいくもの、と思っていました。しかし、それは私の希望的観測に過ぎませんでした。

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竹中さんの次なるターゲットになったのは……

次なるターゲットになったのは、竹中さんの隣室に住む河野君でした。近くの工科大学に通う河野君は色白でおとなしい好青年で、一人でゲームをしているのが好きなシャイな性格でした。

きっかけは2人がアパートの階段ですれ違ったことでした。竹中さんは「おはよう!」とあいさつをしたらしいのですが、実習に遅れそうだった河野君はろくに返事をせず、先を急いだようです。河野君の態度に腹を立てた竹中さんが河野君を追いかけ、「お前、俺をバカにしているだろう」と殴りかかったのです。

それから、河野君に対する竹中さんの嫌がらせが始まりました。河野君が部屋にいるのが分かると、大音量で音楽を流したり、部屋の壁を蹴ったりします。それだけではありません。河野君の郵便受けの中にネズミの死骸が入っていたり、朝出掛けようとすると部屋の前にゴミや汚物がまき散らされていたりしました。

河野君は竹中さんが怖くて外出がままならなくなり、ついには大学を休学することになりました。残念だったのは、竹中さんの報復を恐れてか、それまで私たちや不動産会社に何も相談してくれなかったことです。

河野君の親御さんから事情を聞いた私は、このまま竹中さんをアパートに住ませておくわけにはいかないと思いました。ケースワーカーの石井さんが何度か竹中さんと話し合おうとしましたが、在宅していても居留守を使って出てきません。業を煮やした私は、弁護士事務所に依頼して竹中さんに契約違反による退去勧告の内容証明郵便を送りつけました。

「明け渡し請求訴訟も辞さない」という脅し文句が聞いたのか、数日後、石井さん宛てに竹中さんから電話が入りました。話し合いを求める石井さんに、竹中さんは「もう退去しました。残っている荷物は適当に処分してください」と言い捨てたそうです。