7社中6社が上方修正…大手商社の当期益予想を押し上げた要因

大手商社7社の2023年4―9月期連結決算(国際会計基準)が6日までに出そろい、6社が24年3月期の当期利益予想を上方修正した。過去最高益が相次いだ前期に比べ資源高の落ち着きがマイナス影響となるが、順調な非資源分野が円安の追い風もあって押し上げられる。好業績を踏まえ株主還元を拡充するほか、事業投資にも余力が生じつつある。脱炭素など社会構造の変化を見据え、成長分野に経営資源をシフトする動きが活発化している。

大手商社7社 2023年4ー9月期

7社中5社が業績予想の当期利益を期初予想比3―7%程度の上方修正を行ったほか、2四半期連続で上方修正の豊田通商は同約14%増の3200億円となる見通し。業績予想を据え置いた双日も進捗(しんちょく)率は50%と順調に推移する。

コスト競争力などを磨いた自動車や建設機械の流通・リース事業で好調が目立つほか、円安基調が海外収益の円換算値を押し上げる。7社は通期の為替見通しを1ドル=140円近辺と、期初予想比で10―15円程度の円安方向に修正し、三井物産では当期利益で640億円のプラス効果がある。

また、低収益事業を売却し、成長分野にシフトする動きも進んでいる。三菱商事は25年3月期までの中期経営計画で入れ替え対象とする約80社のうち、売却済みも含め約半数で実行のめどが付いた。継続保有先の収益向上を含む資本効率の改善で、25年3月期には22年3月期比で年間1000億円の利益改善を目標に掲げる。「経営資源を成長投資などに分配して、さらなる成長の芽と柱の育成につなげる」(中西勝也社長)とし、中計の事業投資枠3兆円を超える投資も視野に入る。

三井物産は26年3月期まで3カ年で赤字事業の撤退を含む既存事業の効率化などで1100億円、新規事業の貢献で600億円の基礎収益向上を目指す。新規事業ですでに約300億円のプラス効果のめどが立ち、エネルギー転換やウェルネスなどの重点分野で「バランス良く新規事業が立ち上がっている」(重田哲也最高財務責任者〈CFO〉)と手応えを示す。

伊藤忠商事は当期利益予想を期初予想比200億円増の8000億円に上方修正した。紙パルプや豚肉の価格下落が収益を圧迫するが、円安に加え好調な自動車や建設機械事業、コンビニエンスストアのファミリーマートなどがプラスに寄与する。成長投資は「予想しづらい世界情勢なので、遠くを見過ぎず足元でしっかり稼げる事業や景気耐性に強いポートフォリオにつながる投資に予算を使っていきたい」(石井敬太社長)とした。

脱炭素やデジタル化など経済構造の変化は事業創出力のある商社に商機となる一方、不確実な環境下では投資対象の厳選も求められてくる。円安基調が反転後も収益基盤を固めつつ、規律を維持しながら成長投資を進められるかが注視される。

【関連記事】 三井住友FGの知られざる稼ぎ頭