メモリー高速化・大容量化へ…パラジウム電極に水素透過して界面還元、東工大が新手法

東京工業大学の施宇豪大学院生と辻昌武特任助教、細野秀雄特命教授らは、パラジウム電極内部に水素を透過させて酸化物半導体との界面を還元する手法を開発した。薄膜トランジスタの接触抵抗を3ケタ低減できた。メモリーの高速化と大容量化につながる。

アモルファス酸化物半導体トランジスタ(IGZO―TFT)の用途を薄型ディスプレーからメモリーに広げる。ディスプレーではトランジスタのサイズは数十マイクロメートル(マイクロは100万分の1)だが、メモリーでは数ナノメートル(ナノは10億分の1)に小さくなる。すると電極と酸化物の界面での抵抗の影響が大きくなってしまう。

そこで電極にパラジウムを採用し、水素を電極の中を透過させて界面を還元した。パラジウムは水素分子を原子状水素に乖離(かいり)させ拡散させる性質がある。

実験では電極中を100マイクロメートルほど拡散させ、長さ30マイクロメートルの酸化物半導体との界面を還元できた。接触抵抗は3000オームセンチメートルから6オームセンチメートルに低下した。トランジスタの電界効果移動度は1ボルト秒当たり20平方センチメートルに向上した。安定性は維持された。素子内部の界面のみを還元する手法として応用できる。