住友化学・三井化学・三菱ケミカル…DX活発化、生産現場を効率化

化学大手が生産現場に関わるデジタル変革(DX)の取り組みを活発化している。各社が工場の安全・安定稼働を最重要課題と位置付ける中、住友化学はDXを使い設備保全体制を刷新。三井化学は人工知能(AI)を活用した安全に関する取り組みを進め、三菱ケミカルグループもDXによる効率化で成果を上げている。各社はさまざまな施策を打ち出し、工場の効率的な稼働を実現する。(山岸渉)

化学工場は基本的に24時間稼働で運営されており、日本化学工業協会や石油化学工業協会など化学系団体は安全・安定稼働を最重要テーマとして掲げる。一方、人手不足や設備の老朽化など課題は多く、化学大手各社はDXを活用した効率化策を本格化する必要性に迫られている。

その解決策の一つが、工場設備の抜本的な“見える化”だ。住友化学は国内8工場で新しい設備管理システムを導入し、設備保全体制を刷新した。システムの連携を通じ、設備異常の早期検知やトラブルの回避を目指す。保全コストは従来に比べ、約3割削減できる見通しだ。

一方、三菱ケミカルグループは三菱ケミカル茨城事業所(茨城県神栖市)で従業員に米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を配布。現場情報のやりとりなどを効率的にできる仕組みを構築した。

また岡山事業所(岡山県倉敷市)では工程管理システムの導入により、スマホのアプリケーションから各工程の申請・許可を確認することも可能になった。工程管理をブラウザー上で一元化したことで、リアルタイムでの進捗確認などを実現。協力会社作業員の稼働率を約16%向上させたという。

AIを生産現場で活用する動きも出てきている。三井化学は蓄積したヒヤリハットなどの情報をAIで分析し、作業に応じた注意点を事前に把握できるようにするシステムを整備している。

デジタル化によるさまざまなデータの有効活用は、技術伝承の点でも重要となる。例えば適切な作業の進め方などのデータ化が進めば、従業員の勘やこつに頼ることなく、若手を含む技術の平準化がしやすくなる。

化学工場が人手不足や建設業の2024年問題への対応など多くの課題に直面する中、化学大手はデジタル技術を生かし、競争力の強化に向けた取り組みに知恵を絞っていく。

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