新リース会計基準の変更ポイントと企業に求められる対応策


2023年5月、企業会計基準委員会(ASBJ)より「リースに関する会計基準(案)」等が公表されました。これはいわゆる新リース会計基準と呼ばれるもので、使用資産権(資産)とリース負債(当該移転による負債)をそれぞれに計上しなければならないとされていることが特徴です。

これまでの会計基準と大きく異なる点を中心に、企業における経理や財務部門の対応策などについて解説していきます。

リースに関する会計基準(案)等公表の背景

日本におけるリース会計基準は2007年3月に公表されたもので、当時の国際的会計基準との整合性をもった内容となっています。こうしたなか2016年1月と2月に、国際会計基準審議会と米国財務会計基準審議会により、すべてのリースにおいて資産と負債を計上(オンバランス)させる旨が相次いで公表されました。

これにより、日本におけるこれまでの会計基準との違いが生まれてしまったことから、2019年3月より今後の国際的会計基準との整合性踏まえて、新しい会計基準の検討が行われることになったのです。

(広告の後にも続きます)

新リース会計基準のポイントと注意点

では、これまでのリース会計基準と新リース会計基準とでは何が異なっているのでしょうか。まず、リースにはファイナンスリースとオペレーティングリースという2つの取引があります。ファイナンスリースは借りる側がリースする対象物を選べる反面、諸経費のほとんどを負担しなければならない(フルペイアウト)ほか、リース期間中の解約が禁止されているのが特徴です。会計処理はオンバランスとなり、リース取引の資産と債務を計上しなければなりません。

一方のオペレーティングリースはフルペイアウトなどの制約もなく、ファイナンスリースに該当しない取引すべてが該当します。対象となる資産はリース事業者側の資産とされ、リースする側で資産計上する必要もなく通常どおり賃貸借処理すれば問題ありません。

しかし、新リース会計基準ではファイナンスリースなのかオペレーティングリースなのかにかかわらず、借手のリース取引はすべてオンバランスでの計上が求められることになっています。

たとえばオペレーティングリースにおいて、これまで勘定科目が支払賃借料だけで処理できていた取引も、減価償却費と支払利息としてそれぞれ計上しなければならなくなったのです。これがリース料の支払いごとに発生し、当然ながらリース取引の契約期間が満了するまで継続しなければなりません。つまり、リース取引の多い企業ほど経理負担の増大する可能性が非常に高いと考えられます。