こちらは「おうし座(牡牛座)」の若い星「おうし座FS星(FS Tau)」とその周辺の様子です。地球から約450光年離れた星形成領域にあるおうし座FS星は、誕生してからまだ280万年ほどしか経っていないとみられる若い星です。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影された「おうし座FS星(FS Tau)」(Credit: NASA, ESA, K. Stapelfeldt (NASA JPL), G. Kober (NASA/Catholic University of America))】

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、おうし座FS星は画像の中央付近で明るく輝いている連星「おうし座FS星A(FS Tau A)」と、その右上で左右にジェット(細く絞られた高速なガスの流れ)を流れ出させている「おうし座FS星B(FS Tau B)」からなる多重星系です。

このうち、A星を構成する2つの星はどちらも「Tタウリ型星(おうし座T型星)」と呼ばれるタイプの若い変光星に分類されています。後に主系列星へと進化するTタウリ型星の中心部では水素の核融合反応がまだ始まっておらず、星が自身の重力で収縮したり周囲の物質が降り積もったりする時に放出されたエネルギーで輝くとされています。

一方、さらに若いB星はTタウリ型星へ移行する段階にある原始星とみられており、星そのものは塵とガスの集まりである原始惑星系円盤にまだ囲まれています。地球は円盤を横から見る位置関係にあるため、円盤の暗い縁とジェットが流れ出ている明るい両面らしき部分が写っています。

また、B星は「ハービッグ・ハロー(Herbig-Haro)天体」にも分類されています。ハービッグ・ハロー天体とは若い星の周囲に見られる明るい星雲状の天体のことで、若い星から恒星風やジェットとして流れ出たガスが周囲のガスや塵の雲に衝突し、励起された物質から光が発せられていると考えられています。水色に着色されたジェットは非対称な構造をしていますが、物質が様々な速度で放出されていることがその理由ではないかと考えられています。

冒頭の画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータをもとに作成されたもので、NASAや欧州宇宙機関(ESA)から2024年3月25日付で公開されています。

 

Source

NASA – Hubble Sees New Star Proclaiming Presence with Cosmic Lightshow
ESA/Hubble – Hubble sees new star proclaiming its presence with cosmic light show

文/sorae編集部