
日本を代表する自動車メーカー、トヨタが考案した「なぜなぜ分析」は、現在さまざまな業界で活用されています。しかし、ただなぜを繰り返すだけでは効果は得られません。なぜなぜ分析は、正しく使って初めて結果が出るものなのです。
なぜなぜ分析の進め方
なぜなぜ分析は、ビジネスで生じる問題を特定し、根本的な原因を探る分析手法です。「なぜ? 」という問いかけを繰り返すことにより、問題の原因を追究するという、一見シンプルなやり方ですが、多くの現場で効果が実証されています。
なぜなぜ分析は、大きく分けて以下の三つの手順で問題の原因を追究します。
1)5W1Hなどで具体的に課題を定義する
2)「なぜ?」と繰り返す、根本的な原因を見つける
3)原因を特定し、解決策を考える
たとえばある工場で、不良品が出荷されたと仮定しましょう。この課題に対して、最初の「なぜ?」を問いかけると、「出荷検査でチェックできなかったから」という答えがでてきました。
その答えに対して再び「なぜ?」を問いかけると、今度は「マニュアルにある項目が一つとばされていたから」という具体的な答えが提示されました。
もちろんここで終わりではなく、一般的にはこの過程を5回ほど繰り返し、改善につながる答えを見つけることが推奨されています。
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なぜなぜ分析で陥りやすいポイント
ところが、「なぜ? 」と答えを5回繰り返せば自然と解決策が見つかるほど、現実は単純なものではありません。トヨタの元祖なぜなぜ分析にも、5回というルールはないそうです。実際には確かな答えが見つかるまで、なぜなぜを繰り返すことが必要なのです。
なぜなぜ分析とは、過程を規定の回数繰り返すことが目的ではなく、最終的に具体的な改善案を導き出さなければなりません。そのためには、「なぜ?」に対する答えを具体的にする必要があります。
また、「社員のやる気が上がらないのはなぜ? 」もしくは「業績が伸びないのはなぜ? 」のように、初めに考える課題に具体性がない場合は、何度「なぜ? 」を繰り返してもあいまいな結論になってしまいます。
なぜなぜ分析では、はじめに解決したい問題を明確にすることが重要です。