「SBI・V・S&P500」の純資産残高がついに1兆円超え 強さの秘訣とは?

「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(以下:SBI・V・S&P500)」は2023年6月、純資産総額が初めて1兆円に到達しました。設定から約3年9カ月で大台突破は快挙といえるでしょう。

【純資産総額と基準価額】

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリーより著者作成

SBI・V・S&P500になぜこれほど資金が集まるのでしょうか。魅力を探ってみましょう。

つみたてNISAで2番目に大きいS&P500型ファンド

SBI・V・S&P500は「S&P500」に連動を目指すインデックスファンドです。S&P500はアメリカの大型株上位500社で構成される株式指数で、SBI・V・S&P500も同様の銘柄で運用されます。近年は円安が進んだため、本家のS&P500を上回るリターンを稼いできました。

【組入上位10銘柄(2023年7月末)】

銘柄   比率  
 アップル 7.59%
 マイクロソフト 6.52%
 アルファベット 3.84%
 アマゾン・ドット・コム 3.12%
 エヌビディア 3.02%
 テスラ 1.88%
 メタ・プラットフォーム 1.84%
 バークシャー・ハサウェイ 1.64%
 ユナイテッドヘルス・グループ   1.23%
J Pモルガン・チェース 1.21%

 

出所:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド 月次リポート

【値動きの比較(月足終値、2019年9月~2023年7月)】

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリー、Investing.comより著者作成

S&P500を参照するつみたてNISA対象インデックスファンドは13本(2023年7月末)あり、SBI・V・S&P500は2番目に大きい銘柄です。運用コストも最低水準にあることから、設定がつみたてNISA開始年(2018年)に間に合っていればさらに大きな資金を集めていたかもしれません。

【S&P500型インデックスファンド純資産総額上位3銘柄(つみたてNISA対象)】

  運用会社  純資産総額     設定日   
 eMAXIS Slim米国株式(S&P500)   三菱UFJ国際  2兆5141億円 2018年7月3日
 SBI・V・S&P500 SBI 1兆0675億円 2019年9月26日
 iFree S&P500インデックス 大和 1158億円 2017年8月31日

※純資産総額は2023年8月24日

出所:金融庁 つみたてNISAの対象商品、投資信託協会 投信総合検索ライブラリー、各社の交付目論見書

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バンガードETFで低い運用コストを実現

SBI・V・S&P500はETF(上場投資信託)を活用する点に特徴があります。直接的には「バンガード・S&P500 ETF」に投資し、S&P500への連動を目指します。

バンガード・S&P500 ETFはS&P 500に一致するよう運用されるETFです。経費率は0.03%と低く、SBI・V・S&P500全体の運用コストも0.1%程度に抑えられています。

【SBI・V・S&P500の運用コスト(実績)】 
・信託報酬:0.064%
・売買委託手数料:0%
・その他(保管、監査など):0.01%
・バンガード・S&P500 ETFの経費率:0.03%
・合計:0.104%
※2021年9月15日~2022年9月14日の実績

出所:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド 交付運用報告書

低コストは好成績にもつながっています。差し引かれる費用が少ないため、S&P500とほぼ同じリターンを残せました。

【リターンの比較(2023年7月末)】

  1年 3年
 (年率) 
 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド   19.39%  25.35%
 S&P500(円建て、トータルリターン) 20.14% 25.49%

出所:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド 月次リポート、S&P・ダウ・ジョーンズ・インデックス S&P 500

もちろん、低コストとはいえS&P500自体が下落すればSBI・V・S&P500も値下がりする可能性が高いでしょう。また株式だけで運用されるため、比較的リスクが高い点にも注意したいところです。

投資の際は、債券型のように別の資産で運用される銘柄も検討し、余裕資金の範囲内で行うようおすすめします。

【SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)の概要】

 運用会社  SBIアセットマネジメント  
 設定日  2019年9月26日
 信託期間  無期限
 販売手数料(最大、税込み)    なし
 信託報酬(税込み)  0.0938%程度
 信託財産留保額  なし

 

執筆/若山卓也(フィナシー/Ma-Do 投資信託研究会