
梶田由亜さん(仮名)は昨年の6月、3歳年上の夫と都心のホテルでコロナ禍では珍しい豪華な結婚式を挙げました。夫は一流企業のエンジニアで名家の御曹司、ドラマや映画に引っ張りだこのモデル出身の人気俳優に似た塩顔のイケメンです。
式に招待した友人たち誰もがうらやむ「玉の輿婚」で、由亜さん自身もちょっぴり自慢でした。しかし、結婚式の翌月には完璧だったはずの夫や夫の家族から、どんどんぼろが出てきて戸惑ったと言います。
経済的にも余裕のある暮らしを送れると思っていたのに、今は自身の銀行預金が半分に。自分たちを支配しようとする夫の実家に反発を感じ、実家に言いなりの夫にも怒りを覚えるという由亜さんですが、1年たっても離婚には踏み切れないようです。その理由とは?
夫とのなれそめから現在に至る気持ちの変化を、由亜さん自身に振り返ってもらいました。
〈梶田由亜さんプロフィール〉
東京都在住
27歳
女性
会社員
会社員の夫と2人家族
金融資産43万円
今どき珍しいと思われるかもしれませんが、夫とは見合い結婚です。父の友人で私も幼い頃からよく知っている経営者の方から紹介されました。
その経営者の方は、高価な玩具を買ってくれたり、進学や就職のお祝いを送ってくれたり、本当にいろいろお世話になった方なので、「由亜ちゃんにその気があれば一度会ってみてくれないかな」と言われてむげに断れなかったのです。相手は、都内の名家の御曹司で大手メーカーのエンジニアだと教えられました。
とんとん拍子で進んだ結婚
正直それまで、お見合いにのこのこやって来るような男性にはちょっぴり偏見がありました。「彼女いない歴」が年齢と同じとか、オタクで女性に興味がないとか、そういうクセのある人ばかりだと思い込んでいたのです。
しかし、当日お見合いの席に現れた彼はスラッとした塩顔のイケメンで、夏だったため薄い色のスーツを着ていたこともあり、まるで白馬に乗った王子様のように見えました。ルッキズムと批判されそうですが、外見重視派の私には断る理由がなかったのです。
幸い向こうも私のことを気に入ってくれたようで、とんとん拍子で話が進みました。お見合いをしたその月に彼の実家に招待され、義父、義母、既に嫁いでいた義妹と一緒に食事をしました。
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裕福で優しそうに見えた義家族
地元の信用金庫の役員だった義父は厳格な人で少し話しかけづらい雰囲気がありましたが、優しそうな面差しがよく似た義母と義妹はとてもフレンドリーで、「この人たちとならうまくやっていけるかも」と思いました。今になってみればとんでもない思い違いだったのですが……。
彼の家はかつての地主で、歴代の村長なども務めた家柄でした。戦後の農地改革などで今は自宅の不動産程度しか残っていませんが、格を重んじる家風は継承されているようです。結婚式だけでなく結納もしっかり執り行い、相場の何倍もの結納金をいただいたので、私の両親は目を丸くしていました。
式当日に母が「あなたみたいなのを玉の輿って言うのよね」と言って、うれしそうに送り出してくれたことをよく覚えています。