サステナビリティデータの標準化の動きが進んでいる。サステナビリティデータとは、企業が取り組むESGに関連する情報で、E(環境)に関しては温室効果ガスの排出量や廃棄物の量等、S(社会)に関しては社会貢献活動等、G(ガバナンス)に関しては女性管理職比率等が挙げられる。

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 サステナビリティデータは企業の財務情報と異なり、その開示基準やフォーマットが定まっていないことや、定性情報も含まれることから、特に中小企業では開示が進まず、開示されている情報も横並びで比較しにくいという問題があった。

 このような問題に対し、メガバンクやりそなホールディングスを中心に53の企業や団体が「サステナビリティデータ標準化機構」を立ち上げ、情報開示の浸透・促進を図る動きが始まった(出典:サステナビリティデータ標準化機構)。

 サステナビリティデータ標準化機構は、サステナビリティに関する情報の標準化を目指し、開示すべき項目の特定や、各項目に何をどう記載すべきかという定義を今後進めていくことになる。

 これにより、開示する側は、依頼先ごとに異なる書き方で報告する必要がなくなり事務負担が減ることになる。また、開示情報を集計する側も、定式化されたデータを受領できることで、情報管理の効率化を図ることが可能になる。

 サステナビリティデータ標準化機構だけでなく業界横断の今後の課題としては、情報の活用まで結びつけることだろう。受領したデータを使って、取引先の分析や将来見通しを立てる等の活用が想定されるが、ハードルが複数ある。

 例えば銀行であれば、「CIF」と呼ばれる銀行が持つ顧客番号との紐付けである。銀行は外部の取引先から受領した情報を、内部の管理番号と結びつけることで初めて管理・分析にその情報を使えるようになるが、紐付けにはそれなりの負荷が発生する。

 また、サステナビリティ関連データは、従来なかった新たな分類が求められる。企業の分類を例にとると、従来は「電力会社」のみで管理していたが、今後は風力、火力、その複合といった電源に関する細分類も必要になるだろう。或いは、カーボンニュートラルに貢献する事業と、環境負荷の高い事業を同時に営んでいる企業の扱いも、定義が難しい。

 具体的な情報の活用まで見据えた情報管理のあり方が定められることで、日本におけるサステナビリティ全般の活動が活性化されることになる。