大声を出したもん勝ち?「風通しのいい職場」の裏の意味

多くの人にとって労働時間は一日の大部分を占めているはず。それだけに、仕事の時間の充実は人生の充実につながる……はずなのだが、労働時間ばかり長くて充実度も納得度も低い仕事だったり、責任と給料が見合っていなかったりする仕事だと、モチベーションは上がらず、仕事への主体性は失われる。

こうなると職場への愚痴が口をつくが、それも長く続くと愚痴すら出なくなり、会社のいいなりで黙々と仕事をして、就業時間が終わるのを待つだけになる。「社畜」のできあがりだ。

■大声を出したもん勝ち?「風通しのいい職場」の裏の意味

『社畜語辞典』(唐沢明監修、造事務所編集、カンゼン刊)はしらずしらず社畜化している自分にハッと気づかせてくれる一冊。ビジネスの世界では当たり前に飛び交っているこんな言葉を無自覚に使っていたり、文字通りに捉えているようなら、あなたもまた社畜の入り口に立っているのかもしれない。

たとえば「アットホームな職場です」は、あまりにも有名なフレーズだ。「家にいるかのように居心地のいい会社です」ということをアピールするために使われることが多いが、「会社が家かのように長時間働いてね」「社員は家族だから休日でも連絡するね」というメッセージが隠されている可能性もある。

また「風通しのいい職場」も要注意だ。組織の役職や部署に関係なくコミュニケーションを活発にとれる職場という意味で使われることが多いが、会社の理念が一般社員まで浸透している会社を指すこともある。おもしろいのは、物理的に声が大きい人が強い会社のことも表現しうる点。これでは、一般的にイメージされる「風通しのいい会社」とはまったく話が違ってくる。

うがった見方をすると「コスト意識」もまた「社畜的メンタル」があらわれやすい言葉かもしれない。無駄な出費や労力を防ごうとする姿勢なのだが、本書では「自分が不便をこうむってでも会社の利益確保に貢献する姿勢」とも評し「コスト意識と社畜度は正比例する」としている。

本書では会社や職場にまつわる様々な言葉を収録し、その裏の意味やその言葉に隠されている「社畜の飼い主」たる企業側の思惑を解説していく。かなりうがった見方をしているのだが、人を社畜化から救うのはそのうがった見方なのである。

仕事に疲れた時の気晴らしに手に取ると、「目の前の仕事しか目に入っていなかった自分」を客観視でき、冷静に自分を見つめなおすことができる一冊。会社のデスクにこっそりと忍ばせてみてはいかがだろう。

(新刊JP編集部)