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 日経平均株価が1989年バブル期の過去最高値を更新。その後も高値追いの構えを見せている。バブル期と今回の急伸の違いは何か。

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 バブル期、89年の大納会12月29に3万8915円(当時の最高値/ザラ場中の高値3万8957円)をつけた。東証の立会場は沸きに沸いていた。「(来年の)大発会は4万円も」とする声が、飛び交ってもいた。

 が後付け講釈の誹りを覚悟で記すと「なんでこんなに高くなるの?」、という思いが頭の片隅にあった。その理由はこうだった。

 東証の投資家主体別の株式売買代金は数年前から、売越基調だった。今回あらためて調べてみた。1987年から89年の3年間で東証1部の差引(買い-売り)株式売買代金は、「(証券会社の)自己売買:売越6兆7767億円」「個人:同7兆6155億円」「外国人:同8兆8601億円」「金融機関:同17兆8764億円」「事業法人:同1兆4389億円」。投資信託以外は、大幅な売越。

 では巨額の売越基調にある中で何故、株価は上昇したのか。

 信用取引が牽引、と言える。87年の東証の信用取引差額(買残-売残/買残)は5兆9767億円、88年は6兆6683億円、89年は7兆9537億円。では信用取引に積極姿勢を見せたのは誰か。

 手元に89年第4集の四季報がある。野村證券の90年3月期の予想は四季報業績欄の見出しは【好調】。他の3社も【更新狙い(大和証券)】【更新(日興証券)】【高水準(山一証券)】。そして各社の業績欄には共通した表現が見受けられる。

 『ワラント債の売買益好調持続』。ワラント債(新株引受権付社債)は、新株を一定の価格で一定の数量を引き受ける権利を有した証書。

 信用取引で、駆け上がり続ける株価を買わないリスクヘッジにワラント債で対応策を執ったのである。バブルの華はこうして咲いた。

 3万8915円を超えた今回の相場は、どう捉えたら良いのか。いささか気になるニュースに接した。日経電子版が2月25日午前2時21分に、ニューヨーク支局発の『バフェット氏、株高騰「カジノ的」 投資機会乏しさ憂う』と題する記事を配信した。

 米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウエイは24日、恒例の新春の「株主への手紙」を公表した。米国内外の株式相場の高騰は「カジノ的」だと警鐘を鳴らしている。「魅力的な新規投資機会は乏しく、バークシャーの投資待機資金は最高水準に積みあがっている」という内容の記事だ。ウォーレン・バフェット氏の発言は、内外の株式市場に影響力を持つ。影響は果たして・・・。

 前記したしたようにまさしくバブルの華が咲いた1989年に比べ、今回はどうか。「バブル」と断じたエビデントを、現状と比較してみた。

: 2023年1月4日から12月29日。「自己:買越、3兆5706億円弱」「個人:売越、3兆32230億円弱」「事業法人:買越、4兆8523億円強」「海外投資家:買越、3兆4962億円弱」「金融機関:売越、8兆36億円弱」。

: 24年1月4日から2月2日(同)。「自己:買越、2886億円」「個人:売越、9兆1000億円弱」「事業法人:買越、3613億円弱」「海外投資家:買越、2兆1000億円弱」「金融機関:売越、1兆円強」。

 指摘されているように「史上最高値更新を牽引しているのは、海外投資家の買い」である様相が、示されている。

: 総じて規模が縮小する中で、海外法人投資家の買いは売りの10倍強水準。海外投資家ファンドが「史上最高値」を引っ張っている。

 背景としては、長期間の金融緩和継続(⇔円安進行)があろう。東証の市場再編が海外投資家を惹きつけたことも事実。PBR1倍割れのプライム企業に「是正勧告」を突き付けた効果に象徴的。新NISA導入の寄与もあろう。

 が今回の株価急上昇を揶揄するかの様に、「確かに株価はバブル期を超えた・・・消費税大幅上昇(1989年:3%/2023年: 10%)、円安(月中平均143.60円/150円台)トレンドに伴う物価高も・・・平均給与(402万円/457万円⇔昨年の実質賃金2.5%マイナス)という状態・・・不条理」とする見方も少なくない。的外れとは断じられない。

 肝要なのは、株高の今を足腰が盤石とは言い難い日本経済の再構築の契機としえるかどうかだろう。具体的にはGDPの6割を占める個人消費の底上げだ。不可欠なのは実質賃金をプラス化。物価高<賃上げである。それが前記したバフェット氏の、こと日本株に関しての危惧を払拭することにもつながろう。