三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、エイチ・ツー・オーリテイリング、高島屋、そごう・西武は6月1日、5月の売上速報を発表した。

社名 売上高前年同月比
三越伊勢丹 19.1%増
J.フロントリテイリング 11.2%増
H2Oリテイリング 14.6%増
高島屋 6.3%増
そごう・西武 1.5%増

三越伊勢丹(国内百貨店計)前年同月比19.1%増、J.フロントリテイリング(百貨店事業合計)11.2%増、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店全店計)14.6%増、高島屋各店計(国内百貨店子会社含む)6.3%増、そごう・西武10店計1.5%増だった。

■三越伊勢丹HD(2023年3月期売上高:4874億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比19.7%増、三越日本橋本店店頭12.5%増、三越銀座店37.1%増などで、三越伊勢丹計19.1%増だった。

札幌丸井三越19.7%増、仙台三越0.5%減、静岡伊勢丹0.3%増、名古屋三越6.1%増、広島三越9.2%減、高松三越3.3%減など、国内グループ百貨店計は5.5%増となり、国内百貨店計は13.7%増となっている。

両本店を中心とした高付加価値商品の売上がけん引した。

伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店では、引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く、宝飾・ハンドバッグ・財布が特に好調で売上増に貢献している。化粧品についてはコロナ5類移行によってベースメイクや口紅の動きが好調だった。

免税売上はラグジュアリーブランドのハンドバッグ・宝飾などへの関心の高さが引き続き継続し、首都圏店舗を中心に好調に推移している。

■J.フロントリテイリング(2023年2月期総額売上高:9987億円)
大丸松坂屋百貨店合計の売上高は前年同月比11.5%増、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の合計売上高は11.2%増だった。

5月度の売上高は、日曜日が前年より1日少なかったものの、ゴールデンウイーク期間の売上が好調に推移した。ラグジュアリーブランド、美術・宝飾品も好調を持続。化粧品も前年の3割増と大きく伸ばした。

店舗別では、15店舗中12店舗が前年実績を上回った。入店客数が大きく回復している東京店、梅田店、ラグジュアリーブランドの売上が好調である心斎橋店などが高い伸び率を示したという。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は、対前年378.4%増(客数2828.2%増、客単価83.7%減)となっている。

■エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)(2023年3月期売上高:6280億円)
百貨店事業の全店計の売上高は、前年同月比14.6%増となった。内訳は阪急本店13.2%増、阪神梅田本店17.3%増、支店計15.6%増。

5月8日に、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、都心店を中心に来店客数が順調に推移。移行直前のゴールデンウイークも、最後の週末は大雨となったが、遠方からの来客、帰省客など、幅広い層でにぎわった。特に都心店が各店2ケタ増、郊外店もほぼ全店で前年実績を上回った。

売上高の2018年対比は10%増、インバウンドを除く国内売上高対比11%増と、ともに今月もコロナ前水準を上回った。

阪急本店は2018年対比14%増(同国内売上高対比15%増)、阪神梅田本店は29%増(同32%増)といずれも2ケタの伸びを示した。免税売上高は、中国からの顧客は回復途上であるが、引き続き韓国・台湾・香港からの旅行客の売上高が好調で、2018年5月に対して4%増(阪急本店は8%増)と実績を上回った。

阪急本店は、5カ月連続で過去最高売上高を更新した(同月対比)。

婦人服、服飾品、インターナショナルファッション、化粧品、食品などの売上高が前年比2ケタ増と引き続き好調で、中でも化粧品は約3割増と大きく伸びた。

外出機会の増加で、初夏アイテムのドレス、ブラウスに加え、スニーカー、バッグに収納できるタイプの傘や折りたためる素材の帽子が人気だという。

また、コロナウイルスの5類移行に伴い、マスクを外す場面の増加も背景にリップや基礎化粧品、ファンデーションなどの売上が高い伸びを示した。耳まわりのアクセサリーへの需要も高まっている。

前年の母の日は、ゴールデンウイークの最終日と重なったが、本年は1週間ずれ、服飾品や食品を中心に前日・当日はギフト購入客で活況だったとしている。

服飾品は、天候の影響もあり雨傘や晴雨兼用パラソルの動きが良かった。食品ではケーキ、洋菓子ギフト、洋酒などが好調に推移している。

■高島屋(2023年2月期営業収益:4434億円)
高島屋国内百貨店既存店計は8.3%増、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた国内百貨店計は6.3%増だった。

5月度の売上高は、旅行需要が高まったGW期間中(1日~7日)、前年同期比2.4%増で推移した。8日以降は新型コロナウイルスの5類移行の影響もあり、夏物衣料などが堅調だったことから、9.3%増と回復している。

店舗別売上高では、大阪店、堺店、京都店、日本橋店、横浜店、新宿店、柏店、岡山店が前年実績を上回った。

商品別売上高(同社分類による14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、呉服、 子供情報ホビー、スポーツ、美術、食料品、食堂が前年実績を越えている。

■そごう・西武(2023年2月期営業収益:1854億円)
そごう・西武10店の既存店売上高は前年同月比1.5%増(2019年同月比3.0%減)、西武池袋本店は2.4%増(同3.1%増)となった。

5月は、高額商材領域は、依然好調を継続し、プレステージブランド(前比約15%増/2019年比約75%増)、呉服高級雑貨(前比約10%減/2019年比約40%増)だった。

外出および旅行に向けたニーズが復活、衣料品計でもコロナ前売上を確保し、衣料品計は前比約5%増、2019年比5%増となった。

対面での集い復活による和洋菓子需要がけん引し、食品も伸びた。食品前比約5%増、2019年比約5%増。

免税利用売上・客数も復調傾向で、売上前比約3.7倍強、2019年比約50%減。客数前比約14倍強、2019年比約35%減だった。

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