「arrows」「らくらくスマホ」手掛けるFCNTなど3社が民事再生。合計負債額1431億超

スマートフォン「arrows」「らくらくスマートフォン」シリーズを手掛けるFCNT(株)は、本日5月30日、東京地方裁判所に民事再生手続開始を申請したことを明らかにした。

申請は本日付で受理され、東京地方裁判所より本日付で監督命令及び弁済禁止の保全処分の発令を受けたとのこと。同時に、グループ会社であるジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)、および持ち株会社であるREINOWAホールディングス(株)も民事再生手続開始を申請している。

上記3社は、富士通グループの携帯端末事業を投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(株)に譲渡するにあたり、携帯端末事業の運営を目的として2018年に設立された企業。

FCNTの発表によると、今回申請に至った背景には、「携帯端末市場の成熟化等によって売上が伸び悩む中、昨今の円安の進行、世界的な半導体不足等の影響によって原価・費用が急激に高騰し、REINOWAグループの収益・資金繰りは、急速に悪化する事態」になったことが挙げられるという。

こうした状況下において、さまざまに収益改善の取り組みや再建可能性を模索する中、「弊社が民事再生手続をとることを前提として、複数の事業会社より、シニア向けSNSサービス等のスマートフォン等の携帯端末の利用に関連した各種サービスの提供等を承継・支援する旨のスポンサー支援の意向表明を受けた」と説明。これにより「スポンサーへの承継によるサービス事業等の再生を目指すこととし、民事再生手続開始の申立てに至った」としている。

なお、携帯端末の製造/販売事業については、「時点において具体的なスポンサー支援の意向が表明されていない中で事業を継続することは極めて困難な状況」であるとして、本日以降速やかに事業を停止。同様に修理/アフターサービス事業についても一時停止し、事業再開・支援について携帯キャリアを含む関係各位と協議する予定とのこと。

同社は「取引先その他の関係者の皆様に対しまして、多大なるご迷惑とご心配をお掛けすることになりましたことを、心よりお詫び申し上げます。今後は、東京地方裁判所及び監督委員の監督の下、弊社事業の再生に全力を尽くす所存でございますので、何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます」とコメントしている。

信用調査大手の帝国データバンク、および東京商工リサーチによれば、3社合わせた負債額は、2022年3月期の単純合算で1,431億600万円。内訳は、FCNTが約733億6000万円、ジャパン・イーエム・ソリューションズが約367億9000万円、REINOWAホールディングスが約329億5600万円となる。