2023年7月に本社の移転を予定している。写真は移転後のイメージ(画像: ソラストの発表資料より)

 ソラスト(東証プライム市場)。医療機関からの受託業務が主軸。医療機関への人材派遣も手掛ける、医療関連支援のパイオニア企業。そして目下注力中なのが、介護事業であり保育事業。

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 今回改めてソラストに関する原稿を投稿しようと思ったのは、介護事業の尋常ではない拡大ぶりを知ったからだ。前2023年3月期「11.8%増収、0.1%営業増益、9.4%最終減益」で着地したソラストの今24年3月期計画は、「3.0%増収(1350億円)、0.7%営業増益(63億7000万円)、79.6%最終増益(57億円)」。決算発表と同時に今後(今期)の見通しとして、ソラストではこう発信している。

 「医療関連受託事業では、コロナ関連業務終了に伴い減収要因となる。一方で介護事業が昨年度から今年度にかけてのM&Aの貢献等で、総売上高を3.0%押し上げる増収要因となる。営業利益も積極的な賃上げによる減益要因を、介護事業のデイサービスや施設系サービスの回復などで0.7%増益を見込む」

 改めて、介護関連事業のM&Aの実態を調べ直してみた。今年に入ってからだけで、以下の様な実態が確認できた。

★1月18日: 森伸の株式を取得し子会社化。森伸は三重県伊勢市内でサ高住やグループホームなどを、15事業所を運営。伊勢市内でトップクラスの介護事業者。

★4月11日: メディカルライフケアの会社分割に伴う株式を取得し、子会社化。メディカルライフケアが神奈川県を中心に展開する、通所介護(デイサービス)やグループホームなどの18事業所を継続運営。

★4月28日: 総合ケアネットワークの株式取得、子会社化。総合ケアネットワークは福岡県で、有料老人ホームや訪問介護などを9事業所運営。

★5月24日: ポシブル医科学の株式を取得、子会社化。ポシブル医科学は、JR西日本グループの一員。関西圏を主にリハビリ型デイサービスを中心に、57事業所を展開。相対的に要介護度が低い高齢者に対し「積極的自立支援」をコンセプトに、科学的な根拠に基づくサービスの展開を図る。

 矢継ぎ早のM&A駆使による介護事業拡充の動きを、ソラストの広報・IR部長はこう説明した。

 「当社は2030年の介護事業の売上高1500億円(前期比2.7倍)、介護サービスの提供エリア300エリア(約3倍)に拡充し『地域トータルケア』の確立を標榜している。その為の施策」とした上で、「M&Aを実現の戦略の中軸に置くのは、時間を買う認識と捉えている」。

 そんなソラストを株式市場は、どう捉えているか。本稿作成中の時価は1200円台半ば、予想税引き後配当利回り2.6%余。昨年12月に1300円水準まで買い進まれ1月入り早々に1034円まで整理、3月2日に1356円まで戻し目下調整場面。好配当利回り享受、中長期構えが賢明か。