全国安全週間の準備期間を迎える。今年度は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたなかでの安全週間となる。実施要綱を見ても「実施に当たっては、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策にも留意する」という文言は見当たらない。

 もっとも、業界によってはいまだ警戒を解除できない職場もあるに違いなく、ましてや新型コロナウイルスが地球上から消滅したわけではないため、今後は本格的にウィズコロナに踏み出すことになる。とはいえ、厳しいマスク着用義務などは緩和され、コロナ禍以前に行われていた人が集まるスタイルでの安全大会の開催が期待できる。

 振り返れば、令和2年から新型コロナウイルスにより、安全大会や記念講演などが中止に追い込まれた。その後、人数を絞っての小規模開催やオンライン併用型など模索をしながらの開催となった。同2年から同3年にかけては労働災害件数が増加傾向に転じており、安全意識醸成の機会減少が影響しているのではないかとの見方もある。

 感染症予防対策のためとはいえ、オンライン形式では、参加者同士の交流や情報交換といった面では、どうしても物足りなさを感じてしまう。やはり、参加者が顔を突き合わせることで相互に刺激を受けたり、問題意識を共有することができる。音楽やスポーツも会場でファンが集うからこそ盛り上がるもので、安全意識の機運を高めるのも同じことがいえる。

 元来、日本の安全文化であるゼロ災運動やチーム一丸となってのKYTは、皆が一堂に集まり、元気よく掛け声を出すことで成立していた。感染症対策とは相反することが多く、いわば「お家芸」を封印されてしまった格好になったわけだ。

 今年は第14次労働災害防止計画の初年度でもある。準備期間中は、コロナ禍で滞っていた安全衛生活動の総点検を実施するとともに、同計画で新たに指摘された課題について対応していきたい。

 加えて、人の集まる安全大会が開催可能ならば、なおのことよい。