帝国データバンクは26日、2023年度の「設備投資に関する企業の意識調査」の結果を発表した。設備投資計画がある企業は約6割で、2019年の水準に近づいた。一方、設備投資の内容は「既存設備の入れ替え、更新」が最多で、「増産・販売力増強」「新製品・新事業・新サービス」「研究開発」は、いずれも前年度より減少。また設備投資を予定していない理由のトップは、前年度に引き続き「先が見通せない」となった。

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 日本建設業連合会は26日、4月の受注実績調査の結果を発表。4月としては2014、2015年に続く高水準で、非製造業が牽引した。具体的には、1,000億円超のオフィスビル、300億前後のショッピングモール、100億円超のマンションの受注などがあった。製造業は前年同月から落ち込んだものの、半導体関連で工場の受注が複数見られるなど、設備投資は好調な状況だ。

 かかる状況下、帝国データバンクは26日、2023年度の「設備投資に関する企業の意識調査」の結果を発表。2017年4月以降、毎年4月に実施しているもので、7回目となる今回は全国2万7,663社を調査対象とし、有効回答企業数は1万1,108社だった。

 設備投資計画が「ある」と回答した企業の割合は60.5%で、コロナが発生した2020年度以降で最も高く、コロナ前である2019年度の62.3%に近づいた。コロナの行動制限がなくなったことや、インバウンドの急回復を受け、広い分野で供給の増強や生産・営業活動の回復のための設備投資が進みつつあることが見てとれる。

 一方、設備投資計画があると回答した企業が予定する設備投資の内容は、「(老朽化した)既存設備の入れ替え、更新」が57%で圧倒的に多く、「既存設備の維持・補修」の28.5%が続いた。

 これに対し、「増産・販売力増強」「新製品・新事業・新サービス」「研究開発」といった、成長やイノベーションに関わる投資を選択した企業は前年度より減少。それでも、「情報化(IT化)関連」や「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」を選択した企業が前年度より増え、中小企業を含めより多くの企業が生産性向上に向けて取り組んでいると言える。

 設備投資を予定していない理由のトップは「先行きが見通せない」で45.5%だった。「先行きが見通せない」と回答した企業の割合は、コロナ直後の2020年に6割に達したが、今回コロナ後で初めて50%を下回った点は前向きである。人手不足や物価高など厳しい経営環境が続いているからこそ、生産性向上や合理化などの投資が重要性を増しているとも言える。